ピーナッツバターのまくら

2023年8月5日(土)

友人2人と一緒にいたばし花火大会に行く。河川敷の法面にレジャーシートを敷く。友人の一人が靴を脱ぐことを想定していなかったようで、靴下が少々使い古されていることに気恥ずかしさを感じているようだった。そのときに私ともう一人の友人が、靴下の周期的にそういうこともあるとか、花火が上がるときにはあたりは暗くなるから大丈夫とか、すかさずフォローを入れていた。そのことが花火を見終わってそれぞれに解散したあとに真っ先に思い起こされた。みんな優しい。

出かける前に『蓮見孝之 まとめて!土曜日』の前半部分を聴いた。自民党女性局によるフランス研修について、佐藤信さんのコメント。

佐藤「今回の件はですね、松川るいさんという国会議員の方がSNSにあげたっていうことで、国会議員の特権を使って、つまり歳費とかを使って行ったんじゃないかってっていうのが炎上のきっかけだと思うんですけれども。実際には自民党が政党のお金を使ってですね、派遣してたということでして。その辺ちょっと若干の行き違いがあるんですね。ただ、前提としてこう理解していただきたいのは、通常国会が終わったあとですね、国会議員の人たちって、まあ今回は違ったんですけれども、海外に調査に行くっていうのは比較的よくあるんですね。で、調査に行くときっていうのは、もちろん調査する相手があって、ヒアリングがあったりとか、実際に議会を見学しに行ったりとか、色々あるんですけれども。しかし、それ以外の場面ではですね、観光地に行ったりってことは、しばしばあるんですよね。なので、実はこのこと自体がものすごく珍しいことわけじゃなくて。で、何が問題だったかっていうと、じゃあSNSにあげたことが問題だったのかってことになっちゃうんですよね。でも、これってあんまりいい傾向じゃなくて。つまり、国民の代表として選ばれてる人たちがいろんなところを見てくるって本当は望ましいことなんですけど、これも叩かれるかもしれない、これも叩かれるかもしれないって言ってSNSにあげなくなって、いわゆる可視化されなくなってくるってことって、我々の代表としての昨日を考えるとマイナスなんですよね。つまり、私たちが選んでる人たちが実際に公的な場面ではどういった活動をしているのかっていうのは、与党とか野党とか関係なくですね、本当は一番見えてるのが望ましくて。それはすごく人間的で。なんかときにはいいことばっかりじゃないっていうか、遊んだりとかしてるかもしれないけど、そういうところも国民が受け入れて自分たちの代表だよねってことって実はすごく大事なんですけれども。やっぱりそこがこういうふうに批判一辺倒になるっていうのは、あんまりよくないかなっていうふうには思ってますし。実際に今回答えてる議員であったりとか、政党に関してもですね、もう少し前向きに自分たちはこういうこともやってるんだよとかフランスから実際こういうことが学べたんだよってポジティブな面っていうのをもう少し打ち出せなかったかなっていうのは感じているところですね」
(2023年8月5日放送 TBSラジオ蓮見孝之 まとめて!土曜日』)

 

2023年8月6日(日)

午前中にぺいさんとお電話。今日の電話はお互いにゆったりとしたものだったので、通話中にプロテインを飲もうとこっそりシェイカーを振っていた。すると、ぺいさんから「もしかして今プロテイン振ってる?」と的確な指摘をされ照れる。ぺいさんも通話をしながら行きたいところに行っておられた。電話先で聞こえる案内音から察して、「◯◯のATMですか?」と私が聞くと当たっていたようでぺいさんも照れていた。

映画館で『インスペクション ここで生きる』を観る。主演はジェレミー・ポープ。ジェレミーのことはライアン・マーフィーによるNetflixドラマシリーズ『ハリウッド』がきっかけで知った。 俳優業だけでなく、幼少期の教会でのゴスペルや、ドラマ・映画に進出する前からキャリアを重ねていた舞台で培ったスキルを活かした音楽業も行っている。必ずしもディスコグラフィが多いわけではないが、一つ一つに身を入れていると感じる。2021年リリース「Worth A Million」、2022年リリース「Uptown Apartment (feat. Verdine White)」、それぞれ好きでよく聴いた。今でも時折音源を聴き返したりMVを観返しては、すげ〜と思う。

映画の内容もかなり好みだった。分かり合うことがテーマの作品も好きだけど、異なり合うことを重んじる作品にも惹かれる。本作は主人公エリスと母イネスの関係において、どちらかというと後者をフォローしていると感じた。お互いにこれまで培ってきたバックグラウンドを踏まえると、それぞれの信念は簡単には譲れないもので、母イネスにとってはエリスの価値観は理解し難く、到底受け入れられないものであり続けていた。母はその受け入れ難さが、ブートキャンプをきっかけに解消されたものだと期待したが、やはりその溝は依然としてあって、エリスへの失望や怒りを隠せなかった。しかし、エリスはその埋められない差異を踏まえ、それでもイネスとの関係を諦めないという姿勢を描いていた。私はそこにかなり勇気づけられた。映画のエンドクレジットではserpentwithfeet「The Hands」が流れた。字幕翻訳は松浦美奈さん。「The Hands」の和訳もおそらく松浦さんがされていたようで和訳内容もすっと入ってきた。

Forgive the folks too scared to hold / Our hands
怖くて手を握れない人たちを許して / 私たちの手で
serpentwithfeet - The Hands

映画を観終えて、パートナーと合流。ロイヤルホストで一緒にパフェを食べる。パートナーが試験終わりだったので、メロンのパフェをごちそうすると約束していた。ロイホのパフェを食べるとき、サンザシとピーカンナッツが入っていることが嬉しくて、いつもそのことを口にしてしまう。おしゃべりをして解散。

夕方、水星さんと待ち合わせをして阿佐谷七夕まつりへ行く。ほとんどの出店を商店街の方がされていて、なんてあったかい祭りだ…!と思った。七夕まつりのあとは水星さんのおうちでご飯を一緒に作って食べる予定だったので序盤出店で何か買って食べるかどうかお互いに少し躊躇われた。途中から、あまりにおいしそうなものが並んでいることに屈して、五平餅とファラフェルを買って食べた。どちらもすごく美味しかった。お店の雰囲気もよかったので七夕祭りでないときも立ち寄りたいと思った。

五平餅を買うときに、ファラフェル用のトレーとフォークを水星さんが持っていたら、お店の方が気を遣ってくださって、トレーとフォークを回収してくれた。以前、水星さんとパン屋さんに行った時も直前に持っていたジェラートカップをお店の方が気を利かせて回収してくださったことがあった。水星さんはお店の人からそのときどきで手に持っているものを回収してもらうことが上手いことを伝えた。晩ごはんもおしゃべりしながら楽しく作って、テレビ番組やYouTube、配信番組をだらだら観て、遅い時間まで滞在してしまった。

 

2023年8月7日(月)

洗濯するためにランドリールームに行く(ランドリールームには洗濯機が5台、乾燥機が3台備え付けられている)。私のシェアハウスには外注で清掃員の方たちがいて、週に複数回廊下・キッチン・トイレ・シャワールームなどシェアハウス共有部の清掃をしてくださっている。ランドリールームには物干し台が設置されていて、私がランドリールームに行った時は清掃員の方たちがキッチンで使用する台拭きを乾かしておられた。挨拶をして自分の洗濯物を洗濯槽に入れる。清掃員の方たちは台拭きをパラソル型の物干しにかけながらお話されていて、清掃員のどなたかが持ってこられたクッキーがおいしかったようで、「私ぺろっと食べちゃった」と和やかに話されていた。私はこのシェアハウスで一緒に暮らす方たちやシェアハウスをサポートしてくださっている方たちのやりとりがぽろっと耳に入る瞬間がとても好きで、この日もこの瞬間に偶然立ち会っただけでなんかもう今日これでいいじゃんと思った。

水星さんから昨日もらったピーナッツバターピローズを食べる。枕のかたちをしたクレープ生地にピーナッツバターが包まれているお菓子。ピーナッツバターは塩味がよくいていて、スキッピーみたいな甘ったるさは全くなかった。カルディに売っているそうなのでまた見かけたら購入すると思う。

お昼ごはん。WithGreenで売っていそうなサラダをまた作って食べる。

夕方、着なくなった服をセカンドストリートに売るぞとふいに思い立って仕分けする。古着屋さんで買った服や、重たくて着るのが億劫になった冬物のアウターなどをクローゼットから選ぶ。持ち込みは面倒なので宅配買取を利用することにした。ヤマトが集荷のときに段ボールを一緒に持ってきてくれるサービスがあるようで、これは便利だぞと思うも、必要な段ボールの個数が読めず(アウターってどのくらい段ボールを圧迫するか入れてみないとわからない)。大は小を兼ねると思って、上限である段ボール3個持ってきてもらうことにした。

夜、運動をして10km走る。運動着に着替えようと衣類を準備したら取り出した靴下裏が汚かった。たぶんこれは土曜日の花火大会の日に履いたものだろうと想像される。枯れた雑草がくっついていた。

 

2023年8月8日(火)

毎日新聞の映画紹介記事で『インスペクション』の記事があったので読む。主人公エリスとロサレス上官との関係性について、交情と端的で的確に説明していて、思わず膝を打った。

仕事終わりにスーパーに寄ったらAl KooperJolie」のイントロが流れる。これ何の曲だったっけと思い出せず、もどかしい気持ちで帰宅。結局この日は何の楽曲だったか思い出せず。

 

2023年8月9日(水)

仕事中、昨日思い出せなかった「Jolie」がEnjoy Music Club「東京で考え中」のサンプリングネタだったことを思い出す。バリー・ジェンキンス『ムーンライト』とかで流れてたっけとか、何かの映画やドラマで流れていたっけと思ったが見当違いだった。しかもあのイントロの印象的なメロディはEMCの曲でもイントロでしか使われていないことに改めて聴いて気づく。

最寄り駅で電車を降り、前に抱えていたリュックを後ろに背負い変えようとしたときに、人差し指にはめていた指輪とリュックの肩紐がぶつかった。指輪は指から抜けて吹っ飛び、ホームを勢いよく転がって、電車とホームの間に落ちた。ショック。実はこの指輪ころりんは二回目。もう一つの指輪も同じようなことがきっかけで原宿駅のホームと電車の間に落とした。

夜、とうもろこしごはん、中華サラダ、WithGreenみたいなサラダ、なすと玉ねぎの炒め物を作る。自炊する気が起きないときは『パンサー向井の#ふらっと』月曜日の10時台に放送されている「桃屋のかんたんレシピ」のコーナーを聴くとやる気が出る。

 

2023年8月10日(木)

在宅。始業前に宅配買取の服を集荷するためにヤマトが来られたので売りたい服を詰める。自分の想像がうんと甘くて、綿が詰まったアウターとそのほかの服を段ボールに入れたら1つで足りてしまった。ヤマトの方にすみませんとお詫びして配送をお願いする。

仕事終わり、パートナーの家へ向かう。昨夜作った中華サラダを半分くらいをジップクロックに詰め、保冷剤の入った保冷バッグに入れて持っていく。

電車でぷわんと香る誰かの汗の匂いで祖父母のことを思い出す。今くらいの時期の夕方、農作業から帰ってきた祖母はとうもろこしをよくゆがいて、晩ごはんの前に振る舞ってくれた。それを祖父母と一緒に食べたときの、茹で上がったとうもろこしと祖父母の肌着から立つにおいが混じったような匂い。

駅近くのホルモン焼肉屋さんに行って晩ごはんを食べる。卓上にレモンサワーが出てくる蛇口のある60分550円で飲み放題のお店で、ホルモンを中心に焼肉を食べた。パートナーが夜仕事終わりに散歩をするコースを一緒に歩いた。

 

2023年8月11日(金)

武田砂鉄さん『父ではありませんが 第三者として考える』の中で登場し、そういえば一度も行ったことのなかったむさしの森珈琲に、パートナーを誘い一緒にモーニングをとる。同じくすかいらーくグループのガストを知っているので価格はやや高めだったが、お店の落ち着いた感じや店員さんの応対も優しくて嬉しかった。日中一緒に電車で出かけて、夕方解散。

移動中はさぎさん『ふあんをまるめて星にする』を読んだ。表紙絵を描かれている山ださんをきっかけに知った日記本で、2022年3月から2023年3月にかけてのことが綴られている。さぎさんも一時期鳥取で暮らしておられたようで、ときおり鳥取の話題や、鳥取に行かれた話が登場して懐かしさを感じる。東京と鳥取が混じる話をこれまでほとんど聞いたことがなかったのですごくわくわくした。さぎさんがその日見た夢の話がたびたび書かれていて、それらがこんなマルチバースは嫌だと思うものばかりだった。夢の中の出来事がさぎさんにとって厳しすぎる。

帰宅してからラジオを聴く。アシタノカレッジに『トランスジェンダー入門』共著者の一人、高井ゆと里さんが出演されていたので聴いた。

ニキ「最近もね、ジェンダーレストイレっていうところ、あの新宿歌舞伎町タワーでいろいろ一悶着ありましたけれど。あれもなんやかんやあって結局また再改造されて、男女別に」
若林「男女別になるんですよね」
高井「そうですね」
ニキ「でもそういうところで企業とかね、ダイバーシティだからっていうところで試行錯誤してるんだけれどその試行錯誤の段階でどれくらいのいろんな当事者の人たちの意見を聞いてるのかっていうところはちょっと疑問に思うところはありますね」
高井「そうですね。あまりよい姿勢だったとはいうふうにはあの企業自体がよい姿勢でい続けられたかっていうと私は必ずしもそう思っていないです。ただまあトイレの話一つ取ってみてもなんか多くの人たちはあのトイレの写真を見て、写真に反応すると思うんですよね。でもトイレってじゃあ何のためにあるんだろうって。トイレってどんなふうに使ってるんだろうっていうふうに一歩引いて考える必要は必ずあって。トランスではない人たちのほとんどの人たちは出先で使えるトイレがないかもしれないって家玄関出る時に不安に思うことってないと思うんですよ。だってトイレってそこらじゅうにあるから。でもトランスの人たちの中には、出先でトイレがあるかどうか、地図を広げて使えるトイレを一本ずつピンをさして、この時間はこの辺にいるからここのトイレ使おうかな、ここ混んでたらこっち行こうかな、地図を広げてトイレっていうものを街の地図の中でピンをさして数少ないピンを綱渡りのように生きているですよね。シスの人たちはトイレを面で見ていない。地図を広げて、ピンをさしていなくて、点で見ていて、使えるトイレがあれば使う。快適そうに見えたら使う、それだけの判断をしていて、トランスの人とトランスではない人でそもそもトイレっていうものの見方が違うんですよね。だから私から言わせれば使いたくないトイレがあるんだったら使わなければいい、それができるのはトランスではない人たちの特権だと思っています。トランスの人たちは数少ない使えるトイレを地図を広げて頭の中に一生懸命思い描きながら必死にそこを探して生きている人たちがいて。そういう人たちの苦労と現実を一切知らないまま、あんなトイレは使いたくないっていう人がたくさんネットで騒いで、それでなんか話題になってしまって。なんか興味本位で来る人がいて、動画撮るやつがいて、結局施設が困って、って悪いループを作ってしまっていて。なんのためにあのトイレが必要とされる発想が生まれてるのかっていうのを知らないまま点で考えられてしまうっていうのは非常に腹立たしいことだなと思っていました」
2023年8月10日放送 TBSラジオ『アシタノカレッジ』

 

この日の『武田砂鉄のプレ金ナイト』には、荻上チキさんがゲスト出演されていた。ゲストコーナーだけでなく、TBSラジオの澤田記者が夏休みを取られていたのでニュースコーナー、YouTubeのアフタートークにも出演。ゲストとして登場するチキさんが珍しく、砂鉄さんとのおしゃべりが新鮮で興味深く聴いた。

チキ「私、学生に話をするときにはなるべく高校生とか大学生とかの教科書に紐づけて話を展開するんですよね」
砂鉄「彼らが使っている教科書っていうことですか」
チキ「そうですね」
砂鉄「おーなるほど」
チキ「で、砂鉄さんも僕もたぶんそうだと思うんですけど、三権分立って学びましたよね」
砂鉄「学びましたね」
チキ「で、行政があって、立法があって、司法があって。これが三権分立で。特定の権力が権力を独占しないように分散してるんだと。で、相互に役割を分けていつつも、監視し合ってるんだ、緊張感があるんだっていうような説明があって。で、真ん中に国民とか書かれてたりするんですよ。主権者とかね。で、そこで国民が行政に対しては世論で働きかけ、国会に対しては投票で働きかけ、裁判所に対してはこれは国民審査で働きかけをするというふうに書かれていて。大人になると、この絵って不十分だなと学ぶわけです。あの、権力を分ける図としては適切なんですけど、国民の選択肢少なく書きすぎって思ってたんですよね。だって例えば国会に対してアプローチするといっても署名活動あります、デモあります、陳情とかロビイングとかもできますよね。で、具体的に勉強会とかを政治家の方とかとすることもできるし、講演会活動とかいろんなやり方があるわけじゃないですか。なのに投票しかないように書かれていて、けっこうミスリードなんですよね」
砂鉄「そっかそっか。大人になったら投票できるようになりますよってことしか書いてないわけですもんね」
チキ「そう。だから投票だけじゃなにも変わらないじゃないかって言われるんだけど。いや、たしかに投票だけで変わるのは議員だけなので。それ以外はほかの手段で変えなきゃいけないんですよっていうところが抜け落ちてる。なので、自分が例えば、国会の議員の方と議論しながら、こういった法律通してくれませんかっていうようなことを国会に行って話をするとか。あるいは、メディア上で色々世論形成したりとか、ときには批判をしたりして、特定の方向に行かないでくださいって言ったりとか。いろんな仕方で自分たちの自由とか未来は変えられるんだよって話をするんですよね」
2023年8月11日放送 TBSラジオ『武田砂鉄のプレ金ナイト』