はじめに
2024年2月にスキンタグ(肛門皮垂)の摘出手術をしました。スキンタグに悩んでいる人が私のほかにもいるかもしれないと思い、今回はスキンタグ摘出手術に関する体験を記録したいと思います。
スキンタグ(肛門皮垂)とは
スキンタグとは、肛門周辺にできた余分な皮膚のたるみのことを指します。スキンタグができる原因はさまざまですが、私の場合は過去に2度切れ痔になった際にその腫れが引くタイミングで皮膚がたるんだまま残ってしまったことによってできました。スキンタグそれ自体は痔ではないため、排便時に出血はありませんし、痛みもありません。
なぜスキンタグの摘出手術をしたのか
スキンタグがあっても出血もなければ痛みもありません。にもかかわらず、今回スキンタグの摘出手術をすることにしました。その理由としては、以下の3つがあります。
(1)2018年と2022年にスキンタグがそれぞれ1つずつできてしまい、肛門周辺に皮のたるみが複数あることに恥ずかしさを感じたため
(2)スキンタグによってウォッシュレットの使用ならびにトイレットペーパーでの肛門の拭き取りに手間がかかるため
(3)2023年、スキンタグに加えて「血栓性外痔核」という肛門周辺のしこりが新たにできてしまい、クリニックにかかったところ、先生がスキンタグの摘出手術に賛同してくれたため
ただし、摘出手術をしたとしても、切れ痔などのおしりのトラブルが発生すれば、再びスキンタグができる可能性もあります。そのため、医師によっては摘出手術を推奨しない場合もあります。
2つのスキンタグと血栓性外痔核
2018年と2022年にそれぞれ1つずつ切れ痔によるスキンタグができました。切れ痔になった主な原因は、新しい環境での不安や仕事によるストレスだったと思います。
2018年に切れ痔になったときは特に排便時の痛みがひどく肛門科に通院しました。処方してもらった飲み薬や注入軟膏の効き目のおかげで切れ痔はほどなくして治りました。ところが、痛みは収まったのに肛門周辺に謎のでっぱりが残りました。身体を洗うときにそのでっぱりを中に押し込んでみるもすぐに肛門から出てきてしまうことに驚き、落ち込みました。当時の通院していた肛門科の先生にそのことを伝えると、スキンタグについて教えてもらいました。その先生は摘出手術を積極的に促す方ではなかったため、直接的な痛みがあるわけではないこと、小さいものでそれほど気になるものでもないことから、必ずしも摘出する必要はないとアドバイスされました。
2022年に転居・転職で環境が大きく変化したことでストレスがかかり、再び切れ痔になります。2018年のときの同様、切れ痔が治るタイミングで再びスキンタグができました。このときは切れ痔の状態が長引いたらスキンタグができてしまうと思って、2018年のときよりもスピーディに肛門科にかかり、回復に努めたのですが、またしてもスキンタグができてしまってすごく落ち込んだのを覚えています。
2023年11月、排便時にまた肛門に痛みが走りました。肛門の一部が腫れていたので、また痔だ…またスキンタグだ…もうあのでっぱりはこりごりだ…と思い、助けを求めて新宿にある「新宿おしりのクリニック」にかかりました。今回の痔もまた治る際にスキンタグができるものと思っていましたが、このときにできたのは切れ痔ではなく「血栓性外痔核」でした。これは肛門部の血行が悪くなり、突然肛門周辺に硬いしこり(血栓)ができたものでした。先生から今回の血栓性外痔核はおそらく痕にはならないものだと教えてもらい、ちょっとだけ安心しました。その診察のタイミングでずっと気になっていたスキンタグについて相談しました。「新宿おしりのクリニック」の先生は再発可能性のリスクについて情報共有する一方で、患者本人がどうしても気になるようであれば摘出手術をしてもいいと考えておられる、手術に前向きな先生でした。このクリニックで日帰り入院で摘出手術ができること、費用の予算などを教えてもらい、一番早くても手術できる日程が2024年2月上旬とのことだったので早速その日に手術の予約をしました。手術当日に麻酔をしても問題ないか確認するためこの日は採血のみ実施しました。
摘出手術当日
2024年2月上旬、スキンタグの摘出手術をしました。手術前に手術台に横向きで寝転がり、看護師の方に心電図、点滴、血中酸素濃度を測ってもらいました。医師の方が来られて挨拶をします。平常時の心拍数が低いらしく、普段から走っていることを伝えると「スポーツ心臓だね」と言われました。スポーツ心臓という言葉をよく知らず、動揺していると、この応答の瞬間に戸惑ったのか心拍数が少し上がっていると伝えられました。
横向きからうつ伏せになって、肛門周囲の痛みを取る局所麻酔である仙骨硬膜外麻酔をしてもらいました。おしりの割れ目の上のあたりに計4回注射をされました。1回目は点滴くらいの痛みでちくっとして、2回目は何かが中に入っている感じ、3、4回目は早速麻酔が効いていたようで何も感じませんでした。私は注射針が苦手なので、麻酔のときが特に緊張しました。
医師の方がおしりのかたちを見てか、「スポーツは何かしてますか?」と尋ねてくれたり、スキンタグができたきっかけについて尋ねてくれたおかげで不安な気持ちが紛れました。だんだんおしりや下腹部の感覚がなくなっていきます。歯茎への麻酔に近いです。麻酔が回るまで15分くらい待機。「麻酔が効いているか確認するためにおしりに指を入れてみますね」と先生から言われたけど、入れられてるかすら分からないほど麻酔はちゃんと効いていました。手術が始まります。麻酔が効いているおかげで全く何も分からないまま手術が進んでいき、あっという間に摘出手術が終わりました。時間としては約5~10分程度だったと思います。摘出後に、先生から「切ったものをみたい?」と尋ねられましたが、先生と一緒に見ないといけないのはたまらないし、先生と一緒にどんな表情をしたらいいのか、どんなコメントをしたらいいのか全くわからないと思って遠慮しました。手術中視覚的な情報は一切なかったので、嗅覚の情報がやや鋭敏になっていて、皮膚が少し焦げた匂いがしました。術後に看護師の方にそのことについて尋ねると、患部を切った後に焼いているとのことでした。術後は立って歩くことが難しいとのことだったので、麻酔が切れるまで術後1時間半ほど手術台で休憩した後、歩けるかの確認。問題なく歩けたので、先生と手術後の過ごし方について教えてもらい、薬局で処方箋ももらい帰りました。
手術後の過ごし方
肛門周辺の腫れが2~3週間、痛みと出血が術後1週間程度続きました。そのため、術後2週間程度は肛門にガーゼをして過ごしました。ガーゼは排便時などに取り替えて清潔な状態の維持に努めます。排便は普段通りにできるものの、患部への負荷をなるべくかけないように排便時間は3分以内に済ませました。また、排便後のウォッシュレットは水圧をなるべく弱くし、上から押さえるようにトイレットペーパーで拭くようにしました。術後2~3週間は激しい運動や飲酒は控えました。入浴はせず、シャワーだけで済ませました。
薬局からは以下の飲み薬と注入軟膏を処方してもらいました。
(1)ヘモナーゼ(痔の出血や、痛み、腫れ、かゆみを和らげ、肛門部の手術後の治癒を促す薬)
(2)ロキソニン
(3)胃薬(ロキソニンによる胃の負担を和らげるため)
(4)肛門注入軟膏
(5)ジクロフェナクナトリウム(炎症を和らげ、痛みを抑えたり、熱を下げる薬、ロキソニンだけじゃ耐えられないくらい肛門が痛いときに服用しました)
費用について
項目 | 年月 | 費用 |
初診(診察・採血) | 2023/11 | 5,580 |
手術(診察・手術・調剤) | 2024/02 | 18,290 |
通院、術後翌日(診察・調剤) |
2024/02 |
1,920 |
通院、術後1週間後(診察・調剤) |
2024/02 |
2,440 |
通院、術後3週間後(診察のみ) | 2024/03 | 990 |
合計費用(円) | 29,220 |
現在気をつけていること
(1)ストレスをなるべく溜め込まない
どういうときに職場や私生活でストレスが溜まるかをよく知り、その状況を早めに打開したり、周りの人たちに共有、助けてもらうかを考える。
(2)排便は短時間で済ませる、強くいきまない
トイレで携帯をいじってだらだらするのはよくない。
(3)ウォッシュレットは水圧弱めに、トイレットペーパーで肛門を拭くときは押さえるように優しく
(4)もしまた切れ痔になったり、スキンタグができたりしてもそれはしょうがない
痔は身体が自分に教えてくれる危険信号のサイン。スキンタグは自分が痛みに耐えたあかし。切れ痔になるのはもちろん嫌だけど、なったからといって落ち込みすぎたり自分を責める必要は全くない。周りの人がスキンタグがあろうがなかろうがそれはその人それぞれの選択であって尊重されるべきもので、どちらか一方のみを推奨したり、強要したりするものではない。