ぱきぱき

 昨日の仕事中、業務でなかなか言い出せなかったことが一つ減った。あくまで一つ減っただけ。まだまだ言い出せていないことがたくさんある。だけど、言い出せないものの総重量がわずかに減少しただだけで、仕事への後ろ向きな気持ちが軽くなったような心持ちになる。今日はそのおかげもあって、普段取り掛かるのに少し時間がかかってしまう業務や、締め切りにまだ余裕があるものに見通しを立ててぱきぱきとあれこれできた。
 この勢いで退職のことを上司に伝えようかと思ったけど、今日も伝えられず退勤する。昨日、上司はお母様の容態があまりよくなかったらしく定時前に早退した。それに毎日のように黙々と積み重なる業務に向かっておられる様子に追い打ちをかけてしまうようでなんか悪いなと感じてしまう。
 仕事終わりに人権学習に参加する。自分の暮らす市町村が企画しているもので、対面形式での開催は今回が初めてだった。今回は障がいのある人の人権というテーマで、障がいや病気によって学校に通うことが難しい学生が分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」を使って、遠隔で授業に参加する取組が紹介された。「OriHime」で参加することで、移動の負担を減らすことができたり、様々な病気や感染症など感染リスクを回避できることは現在の新型コロナウイルス感染症にともなうICT活用から類推することができたが、教室には「OriHime」があるのみなので、障がいや病気により学校に通えない学生のプライベートを守ることができるというのは話を聞いてたしかにそうだなあと思った。
ロボットの見た目が能面のように作られており、容姿や性別や年齢にとらわれないのもメリットの一つだと紹介されておられたが、講演が終わりの帰り道に、じゃあなんでどちらかと言えば女性的な「OriHime」という名前なんだろうと気になった。
 ネットで出てきた3年前の開発者インタビューでは、名前の由来は織姫と彦星が元になっていて、離れている人に心だけでも移動して会いに行きたいという発想から名付けたとあり、自身が折り紙の先生をやっていてオリィというあだ名だったのでオリヒメがいいと考えたと話されていて、意図を汲めば男性的、女性的どちらにも寄らない名前を選択してもよさそうなのに、少し都合のいいネーミングだと感じた。
 
 boylifeのアルバム『gelato』を最近よく聴いている。私はアルバムの中に親密さと荒々しさが共存している作品が好きな傾向にあって、近づこうとするとふるい落とされてしまうような作品を繰り返し聴いてしまう。このアルバムもそのあわいの中で揺蕩うような印象がある。
 ボーカルワークのアプローチはFrank Oceanの影響を強く感じる。また、ボーカルの強度や重ね方には親交があるBROCKHAMPTONやDijonとの近さを感じる。
 アルバムに収録されている「dio」は、昨年シングルでリリースされた楽曲。シングル版とアルバム版では楽曲中盤の歌詞やメロディが変更されている。シングルでは18歳の時の記憶について歌うパートが挿入されているのに対し、アルバムでは楽曲中に登場する対象の人物の側で横になったときの瞬間が歌われている。また、楽曲で表現される情感の動きはアルバムの方がやや大きく表現されているように聴こえる。直前のトラック「peas」のつなぎがきれいで聴き心地いい。