クッキーを焼く

おいしいクッキーを焼く。昨年末、2024年にやってみたいことの一つに立てたことだ。

きっかけは昨年末12月27日にα-stationで放送された折坂悠太さんがパーソナリティの『FLAG RADIO』。この日の放送は年内最後の放送で、忘年会スペシャルと題して青葉市子さんをゲストに迎えて二人でお話をされていた。

この忘年会スペシャルには「お互いにこの一年おいしかったものを持ち寄る」というテーマがあるらしく、お二人それぞれにおいしかったものを持ち寄られていた。

青葉さんが持ってこられたのは島根に行った際に地元の方に連れて行ってもらった喫茶店「焙煎珈琲工房 梢庵」で購入されたコーヒー豆。その豆をミルで挽き、ネルドリップでコーヒーを淹れていた。

折坂さんが持ってこられたのは今朝自宅で焼いたクッキー。最近お菓子を作るのが楽しいらしい。タッパーにクッキーを詰めて持参されていた。(青葉さんがTwitterに投稿されたお写真でどんなタッパーに入れているかが分かりました)折坂さんの焼いたクッキーは青葉さん曰くアーモンドとバニラの香りがするらしく、折坂さんは甘さを控えめにしてスパイスを少し加えたと補足されていた。

お二人のコーヒーとクッキーを食べながらおしゃべりする温度が非常に聴き心地がよかった。私は敬意と親しみが入り混じった穏やかな会話が大好きであると改めて知る機会にもなった。私も折坂さんのようにお菓子作りを楽しみたい、手始めにクッキー作りから始めてみようと目標を立てた。

 

12月30日。まずはどんなクッキーを作りたいか考える。バニラサブレ、チョコチップなどが乗っかった少し大きめのアメリカンクッキー、スパイスが効いたスペキュロス、調べたら色んなクッキーが出てくる。Notionにレシピのデータベースを作る。はじめから工程や調理器具の多い難しいものに挑戦してしまうと結局挫折するだろう。私は自分の躓きやすいところをよく知っている。背伸びはしない。まずは材料が少なく、簡単で、工程の基本が押さえられそうなものから始めてみることにする。少し前に家でジンジャーブレッドラテを作るために購入したスパイスがあったのを思い出し、スペキュロスから始めてみることにする。

12月31日。スペキュロスの作成に必要な無塩バター、きび砂糖、黒糖をスーパーで、どのクッキーにも幅広く使えそうな波打ったかたちのシンプルな型をセリアでそれぞれ調達する。

1月2日。スペキュロスを作った。結果は失敗。失敗した原因がいくつもある。まずバターを常温に戻すべきところでやや溶かしてしまったこと。薄力粉を加えた後に生地少し捏ねてしまい、クッキーが固くなってしまう原因になるグルテンを発生させてしまったこと。型をとるときに生地の温度が上がってしまい、焼いている間に型が崩れる原因をつくったこと。そしてクッキーを焼く際にオーブンレンジの下段ではなく上段で焼いてしまったこと。このいくつもの要素が重なり固くて焦げたクッキーになった。半分くらいのクッキーが焦げて食べられず悲しかった。

1月3日。私は失敗を無駄にはしない。もう一度スペキュロスに挑戦する。昨日失敗した原因を押さえながら、生地を切るように混ぜ、昨日以上に生地を冷蔵庫で寝かし、型を取るときも生地の温度が上がらないように手早く、オーブンレンジの下段で焼いた。途中まで焼いている様子を確認していたが、これなら上手くいくだろうと焼き時間の最後に洗濯物を取り込みに行って少し目を離してしまったので、少々焼きすぎてしまった。昨日の反省点をほぼ押さえたので、焼き加減以外は改善されたおいしそうなクッキーができた。実際おいしいクッキーだった。昨日よりも砂糖を少なめに、レシピの半量くらいの砂糖を使用してこのくらいの甘さが好きだと分かる。焼くのときの慢心だけが今回の反省点。

スペキュロスを二回作ってみて思ったのは、元も子もないことだけどスペキュロスは自分で作りたいほどは好きじゃないかもしれないということ。味はコーヒー屋さんや映画館の売店でたまに見かける赤いパッケージのLotusに似ている。茶菓子として人から出されたら嬉しい。だけど自分で作りたいほどではない。実際に作ってみることで自分がクッキーに何を求めているかも知ることができた。私が好きなのはもう少しほろっとしたクッキー。今度はバニラサブレに挑戦してみたい。おいしいクッキーが作れるようになったら、友人にも迷惑にならない程度に渡してみたい。

挑戦して失敗できること、その失敗から工夫ができること、自分がより好きなものが分かること、場合によっては人に喜んでもらえるかもしれないこと。これらのことをクッキーを焼くことで学んでいる。