【ラジオ】「行け夢見る夢なし女」(2018年12月2日放送『柳原可奈子のワンダフルナイト』)

 以前、柳原可奈子さんのラジオ番組がめちゃくちゃ面白かったのにその内容を書き起こし損ねたのをひどく後悔した。2018年12月2日の放送では、2018年10月21日放送「柳原可奈子は月へ行きません」回の反響を受けて寄せられたメールと、さらに妄想劇の続編が展開されるたまらない回だった。以下、その書き起こし。

 呼んだ?12月になりましたね。そろそろ今年のワンダフルナイト流行語大賞を決めないとですね。(タイトルコール)でもね、あの、正直な話、ちょっと、こう後ほどお話ししますけど。あの、私の話に同じメールが4通も来たということで。4通ということはバズりましたから。4通ということは4万ですから。一匹いたら…失礼だね。リスナーのことをさあ、Gのように言ってしまいましたけど、ほんとに。4通あったら4万件ですから。「月へ行く予定はありませんSP」が一番今年はバズったということで、「私は月へは行きません」ということかな、今回の、今年の流行語は。

 (中略)じゃあ、そのメールをご紹介しますね。りんごちゃんネーム、この方はないですけど、件名がありがたいですね、「神回」。この半年くらい拝聴しております。40代男性です。先週の、あ、これずいぶん前になっちゃった。ごめんね。前澤さんについて語った回、柳原さんの真骨頂と申しますか、自虐と悪意の天才的なバランスの妄想劇に思わず筆をとりました。これからも拝聴させていただきます。柳原さん、お身体、気をつけて。ありがとう。でもこれが真骨頂だとしたら、もう辞めたい。もう恥ずかしくて。人前になんて出れない。

 さあ、続いて。えー、匿名希望の方男性51歳会社員。本日の月には行きません宣言を聴いて安心しました。と同時に、4年前のアニメ映画『かぐや姫のものがたり』に柳原さんそっくりの侍女が出てきて、姫の月への帰還を阻止しようと頑張っていたのを思い出しました。みんな月に行って何がしたいんでしょうか。どうせ戻ってこなきゃいけないのに。山本夏彦さんが生きていたら。何用あって月世界へと再びつぶやいていたと思います。すごい。難しいけどつ~た~わ~る~。ありがとう。

 続いて、りんごちゃんネーム、グロービー。1021日の、あ、ずいぶん前だったんだね、ごめん。月に行かないSP聴きました。オープニングトークでむちゃくちゃ笑いました。世間を賑わしている剛力さんのニュースをきっかけに妄想が展開され、なんとも自分に都合がよく話が進み、ほんとそうだね。アーバンギャルドの曲に至る流れが最高でした。複雑な世の中を全く切らないと言っていますが、こういう世相を切るアプローチ、すごくいいと思います。やっぱりすごい人だな、と改めて思いました。とはいえ、もし月へ行くことになったらそれはそれでお土産話待ってます。ありがとう。うーん、すごい嬉しい。こんなニヤニヤしてる顔、やっぱね、こんなべた褒めのメール読んで、私がもう頰を赤らめながらニヤニヤしてる姿なんか前澤さんが見ちゃったら全然面白くない顔すんのよ。付き合ってたらね、私たち。あ、ちょっと始まっちゃう!ちょっと待って。妄想が始まっちゃう。

 続いてりんごちゃんネーム、うんちょこぴー。先日の月に行くことはありませんSPの敏腕やり手社長に尽くす彼女になった場合の快感と自分を抑制し続けることにより徐々に生じるゆがみの妄想トーク、そしてその流れからの曲「月へ行くつもりじゃなかった」(アーバンギャルド)とってもよかったです。そのお話を聞いていて「あなただけ見つめてる」(大黒摩季)を思い出しました。

 

 そうなのよ!そこなのよ!彩芽聴いてぇ~!そうなのよ。行け夢見る夢なし女になっちゃうのよ、最終的に。それはほんとに、いや~、そういろいろね、そう。あなたがね、嫌がるから化粧をまずやめて、便利だった男の子たち切って、で、サッカーも詳しくなって、車も詳しくなって、どんどんどんどんパーティにも行かなくなって。もうその、彼のスパイシーなママと今ではお茶してて、そうなの、そういうことなのよ。

 そうなの、で結局どんどんどんどん、こう、自分が消滅していって、でもやっぱり出て来ちゃう、ピョン吉のように自我が出て来ちゃうって話なのよ。でもあれ、消滅していく感覚がやっぱみんな好きだから、好きだからあなただけ見つめてるをみんないい、もう神曲だって讃えるんだよね。でもそういうふうに夢見る夢なし女に、なっていって、でもどっちが幸せか、よ。夢見る夢なし女でいて、尽くす彼女でいるのか、やっぱ自我を解放して藤原紀香さんとお友達でなるのか、ね。大黒摩季さんと一緒にFNSとかで「え?私も歌うんですか?」っていう紀香さんが入ってきて、二人でツーショットで歌うか、そういうことなんですよ。分かるわ~。どんどんどんどんさ、もう、気を使ってさ、彼にさ。自分が消滅していく楽しさ、楽しさの先に何があるかってこと。

 松本清張シリーズだったら彩芽ちゃんもうすぐ故郷に戻るころだと思う。松本清張シリーズはだいたいさあ、『黒革の手帖』とか『けものみち』とかもそうだけどさあ、だいたいそのお金!そして毛皮とか着てもう自分のこうもう世の中ががらっと自分の世界がどんどん変わっていって、で、一回真実の愛をさ、仲村トオルさんと一緒に知るのよ。「え?本当はそういう派手な私なんかじゃないんじゃない?私」って、故郷に降り立ってさ、病床のお母さんとかを見舞ったりするわけさ、で一瞬、あの心がこうそっちにいくんだけど、「いいや!やっぱり!華やかな私!お金お金!」って戻っていくっていう、この一連の流れがいいわけじゃん。そういうことなんだよ。そう。だから月に行ってもいいけどやっぱり、芸能界っていうのは、やっぱり持っててほしいっていうか。そういうことなんだよね。

 だから私もまた前澤さんともし付き合ったら、もし付き合ったら、うわ~、でも楽しいんだよやっぱ、やっぱ最初はさ、楽しいの。なんか。うーん、ZOZOの創立何周年パーティーとかにさ、行くんだわ。なんか、ドレスアップして、あの電撃ネットワークの南部さんみたいなサングラスかけて、でパーティ行くの。でさ、そのパーティーでもちろん、ちょっとしたまあスピーチじゃないけど挨拶みたいなのして、それがやっぱり私のこう、ユーモアがすごく炸裂してて、やっぱさすがですね可奈子さんみたいな感じになって。やっぱこう、気分が良くなるわけですよ。

 でも、あの私ゴマちゃんのぬいぐるみいっつも持ち歩いてるんですけども。あの、ユザワヤでね、何日か前に、布買って、黒と白のドットの布買って。でミシンでね、縫ってゴマちゃんに、ZOZOSUITを作るわけですよ。ゴマちゃん用のさ、ZOZOSUITをさ、作ってさ、カバン中持って行くわけですよ。で、ちょっと疲れた、控え室とか戻った彼にね、そのゴマちゃんを「よっ」とか言って出すの。「よっおつかれっ」とか言って出すんだけど、全然笑ってくれないんだよね。全然笑ってくれないんだよ。でも、ああそうか、そういうことじゃないもんなあ、つって。うん、私も。縫いが甘い、縫製が、Its a businessとか言ってさ。縫いが甘いんだよみたいな、ガイアの夜明けで言ってたみたいなやつさ、そういう感じで。縫いが甘いさ、ゴマちゃんのZOZOSUIT持っていくんだけど、全然ハマんなくって。で、やっぱ寂しい思いするんだろうな。で、あの、やっぱりお別れしちゃうんですね。だいたいいっつも別れる妄想になっちゃうんだけど。

 で、お別れして、次に地元の、あの。まだ結婚してない男友達が一人だけいて、その子と付き合うことになるんだけど、私は。で、やっぱ自然にさ、いられるわけ。で、まあ中井駅でごはんとか食べて、西武線西武新宿線中井駅とかでご飯食べて。で、帰り道コンビニでさ、あの、一本の氷結買って。一緒に風に当たりながらさ、だいたい駅から徒歩20分とかだったから、「え?それもう隣の駅ない?」みたいなところまで、彼の家だから歩くんだわ、一緒に。で、一本の氷結飲んで、で、つーって涙流して、あぁ、幸せだなーって思うんだけど、帰ったら彼がゲームやってて、私に指一本触れてくんなかったりとかして、ガーガーいびきかいて寝たりとかしてるわけですよ。

 それで、まあ、幸せを感じるんだけど、たまに脳内の引き出しを引っ張りだしてきて、ZOZOのパーティーでスピーチしてた私をこう、ほんのり、こう思い出すんだよね。で、「ううん、幸せじゃん?」って言ってまたその引き出しを閉じる、っていうでまあ半年くらいでその彼と結婚するっていう、あ、今日は幸せなオチじゃないか?たまに引き出しにあの、出すんですよ。たまに、彼との思い出の引き出しを開けて、そこからは黒トリュフが香るんです。やっぱり。だけどペヤングのギガ盛りを半分して今の彼と食べるのが幸せ。

 (CMなんか、すごい、評判がよかったよ、みたいなのをさ、こう、超えていかなきゃみたいな感じに思うと、急に人ってうまく喋れなくなってくるもんだね。続編って難しいんだな。まあ、そういうもんだな。

 

 今回はきちんと書き起こしできてよかった。柳原可奈子さんが本当に愛おしい。キラキラしている生活に憧れながらもでも私はみうらじゅんが好きなんだよ〜っていう彼女をずっと応援していたい。そんな気分で夜更かしの書き起こし。ちなみに柳原可奈子さんがヤプログで細く長く続けておられるブログにもためになることや、余韻のある記事をぽつぽつと投稿されていて最高です。明日も仕事。