ブルーノじゃなくて

1月13日(木)

 歯医者に行くため午後休み。歯医者に行く前に歯磨きとフロスをする。最近、歯磨きに2種類の歯磨き粉を代わりばんこに使っている。一つはシュミテクトのフレッシュ&クリーンで、もう一つはシャボン玉のせっけんハミガキ。シュミテクトは、前に通っていた歯医者で知覚過敏を予防するためにはシュミテクトがいいですよとおすすめされて以来、いろんな種類を試している。

 シュミテクトのさまざまな商品の中でも、自分はナチュラルハーブが現時点では一番好みだと感じているが、ほかにもっと好みのものがあるかもしれないという思いも同時にある。そのようなわけで、ナチュラルハーブを拠点にして、そのほかの種類を試している。フレッシュ&クリーンは青色のペーストをしていて、自分が普段使っている歯磨き粉の中でも固めな印象がある。

 シャボン玉のせっけんハミガキは、実は随分前に購入したもの。泡立ちをあえて抑えている作りが自分には合っていないと思って、継続的な使用を一時諦めて洗面台下の引き戸の中にしまっていた。先日同じく洗面台下にある綿棒のストックを補充したときに放置された歯磨き粉の存在を思い出し、このままずっと使わないのも勿体ないなと思い、再び使用することにした。再び使用したことで、自分は歯をしっかり磨けたという気分や達成感をうがい前の泡立ちに求めているのだなということにも気づいた。

 朝と夜はしっかり磨いたという気分になりたいのでシュミテクトを使い、せっけんハミガキは昼ごはん終わりに使うようにしている。フロスは歯医者で血を出すくらいなら、いっそ今出しておけという自尊心からたぶんやっている。

 

 検診の時間まで余裕があったので、近所の図書館へ立ち寄る。お昼にメールを確認したら、予約していた本の確保ができたとの連絡があったからだ。近所の図書館は司書の方の選書が好きだと感じていて、ホームページで月に一度更新される新刊情報を楽しみにしている。図書館へ入館すると左側に小説やエッセイの新刊の棚、右側に絵本やYAの新刊が並んでいる。予約していた本だけが目当てだったが、左側の棚に長嶋有さんの『ルーティーンズ』があったので手に取る。左右の棚の間には、企画スペースがある。今回は本の福袋という企画が展開されていて、机の上にはいくつかの白い紙袋が寝かせて置かれている。紙袋の表面には「テーマ:おせちもいいけど…」というように、中に入った本に共通するテーマが書かれているらしい。絵本・YAの新刊の棚に移動して、かねこまき『めんぼうズ』を読む。冒頭を読んで立てた見通しから大きく外れて、ずんずんと突き進む展開に目を剥いた。

 絵本を読んでいるとき、カウンターで利用者と司書の方が話されていて、「ブルーノ」という単語が聞こえてたのをきっかけに、意図せず会話をキャッチしようという気持ちがはたらいてしまう。どうやら利用者の方はブルーノ・マーズの何かを探しているようだった。司書の方がブルーノ・マーズの蔵書がないか調べるも、当てはまるものは出てこず、代わりにネットで検索したら、YouTubeに音楽がありますと伝えていた。利用者の女性は、ブルーノ・マーズは音楽をされている方なの?と驚いておられて、じゃあ予約はしなくていいですといったことを話されて、図書館を去られた。ブルーノという単語に飛びついてなんとなく会話の行先を想像したのは、ブルーノ・マーズCDを所蔵していないかという質問だったけど、利用者の方はブルーノ・マーズがアーティストとは認識されていないようだったので、利用者の方はいったいどこでブルーノ・マーズから図書館という考えにたどり着いたのだろうと不思議が膨らむ。ひょっとしたら利用者の方が誰かから聞いたのは、ブルーノではなくブルーナの間違えたのかもしれない。本当はディック・ブルーナの本が正解だったのかもしれないなどとまとまることのないことを想像しながら、長嶋さんの本と李琴峰さんの『生を祝う』を借りて、私も図書館を後にする。