ある家族の肖像

10/5(月)

 口周辺の肌荒れがすごい。はっきりした原因は分からないけど、マスクがビタッと密着しているのは肌の環境上、あんまりよくないかもしれないとは思う。今日はこないだクローゼットを整理しているときに1枚だけ出てきたセブンの不織布のマスクを付けて出かけた。家でこまめな保湿を続けようと心に決める。そういえば不織布のこと今日まで「ふせんふ」と読んでた。正しくは「ふしょくふ」。

 仕事終わりにK野さんとロイヤルホストで待ち合わせ。二人でパフェを食べる。頼んだパフェは、渋皮栗とほうじ茶のブリュレパフェ。こないだ一人でロイヤルホストを訪れドリンクバーだけで長居していたときに、おいしそうだと思ったメニュー。一人で食べるには強気な値段なので、K野さんを誘うことで食べる口実を設けた。

 K野さんが岡山に越してきて、今日で3年になるらしい。そのお祝いの席を兼ねたパフェ会。今日のテーマは「セクシーさ、色っぽさ」を備えるためには。頼んだパフェの中間のあたりにはベリー系のソースの層があった。食べたときはいちごかと思っていたが、あとから調べると赤スグリのソースだったらしい。赤スグリを食べたのは初めてかもしれない。底には甘さ控えめのコーヒーゼリーが敷き詰められていた。甘さや酸味を取り入れつつ、締めはビターというところから話題が派生して、別れ際は甘ったるいんじゃなくて苦味があった方がいいよね、というよく分からない話に着陸した。

 K野さんが、職場の方から借りて読んだという藤本タツキチェンソーマン』の話をする。すでに最新巻まで読まれていた。コミックスを3巻くらいまで読んでいるのと、最新巻まで読んでいるのとでは物語のシリアスさがかなり異なる。キャラクターの名前を覚えるのが相変わらず苦手なので、キャラクターの特徴を挙げながらしか話題を広げられず、もごもごしてしまう。

 K野さんと解散した帰り道、鱗雲の中で照る月がきれいだった。帰宅。ロイヤルホストに長時間いたので、衣服の繊維の隙間にお店のにおいが忍び込んでいる。隣の人が食べていたステーキの脂のにおいを繊維伝いに嗅ぎながら、ベッドに横になって、モータウンなどがまとまったApple Musicのプレイリストを聴く。このプレイリストをスピーカーで流すのが好きだ。心地よくて寝落ちする。

 

10/6(火)

 2時半起床。流れたままのプレイリストではマーヴィン・ゲイが流れていた。シャワーを浴びる。早起きしたついでに洗濯をする。時間に余裕があるので念入りにフロスをする。

 Amazonプライムデレク・シアンフランス『ある家族の肖像/アイ・ノウ・ディス・マッチ・イズ・トゥルー』の2話を観る。明るいテーマではないので、観るのにすごく時間がかかる。これまでも視聴を始めてものの数分で、(あ、これは今はしんどいかも、また今度コンディションが整ったときに観よう)と思って止め、開いたタブを放置するというのが長らく続いた。結局1話を観終えるのに1週間くらいかかった。それくらい精神的にくらってしまう。でもその分考えることも多い良質なドラマだと思う。

 第2話でのバス旅行でのトイレの話、すごく細かな話だけど、いつまでも忘れられないエピソードなんだろうなあと想像をめぐらす。『アベンジャーズ』シリーズではマーク・ラファロの演技をあまり気にかけたことがなかったけど、トーマスの演技めちゃめちゃ上手い。

 再生数が伸びるからだと思うが、YouTubeの謝罪、怒る、興奮(開封、解説、考察)、騙す系の動画が全部観るのがしんどくなっている。人の誠意や熱意はそれだけ人を惹きつけるのだろうけど、それが定型化して幅を利かせているのを見るとぐったりしてしまう。代わりに最近はたつろうさんの動画をよく見ている。毎朝6時に動画がアップされる。早起きしたときに新しい動画アップされたてだったりするとなんとなく嬉しい。繰り返し見てしまう作品も多い。その中でも「泊まりに来た友達にコンビニ誘われるけど行きたくない女子」は特に繰り返し見てしまう。


 

10/7(水)

 Amazonプライムで『ある家族の肖像/アイ・ノウ・ディス・マッチ・イズ・トゥルー』の2話を観る。遺族の会に参加する主人公が、立ち直ることを要請されているような状況に疑念を抱くが、我が子を亡くしたことを悲しみ続けることにも疑問を感じていて、立ち往生している。

 昼休み。お昼ごはんはひじき煮、鶏肉と玉ねぎの味噌蒸し、混ぜごはん。混ぜごはんには、刻み昆布ともち麦と梅干しと鰹節、それと鮭明太子を混ぜた。鮭明太子はK野さんからこないだ誕生日にいただいたもの。

 晩ごはんを食べてから松岡宗嗣・神谷悠一『LGBTとハラスメント』と遠野遥『破局』を半分くらい読む。『LGBTとハラスメント』では自分がもやもやしただけだったことをどう伝えたらいいのかということの1つの回答が示されていて読んでいてほっとする。『破局』は、主人公の行動規範が本人ではない他者や社会的な実態のないものによって規定されている様子が地の文ののあちこち現れていて、不思議であると同時にその感覚に近いことを自分も覚えることもあるので、くせになってどんどん読み進んでしまう。

 夜更かしして読書していたら日付が変わっていた。そういえば国勢調査のインターネットでの回答期限が7日までだったと思い出して、慌ててサイトへアクセスする。回答が今からでも間に合うか調べたところ、どうやら20日まではインターネットでも回答できるようだった。急いで回答する。国勢調査では、同性カップルの存在が反映されない。人々の暮らしを調査するものなのに、同性パートナーがお互いを配偶者として回答した場合、おじやおば、いとことしての親族として集計されてしまうことが問題視されているらしい。

 眠たくなったのでJoji『Nector』を聴きながら寝る。2時半就寝。

 

10/8(木)

 緊急避妊薬が2021年に薬局で販売されるとのニュース。性暴力を受けてしまった人や望まない妊娠をしてしまった人たちが、必要なときに、大きな負担とならない価格で、医者や看護師から心ない言葉を投げかけられることなく(願わくばそういった手続きの際にも不安を増長するような言葉がけがなくなればいいのだけど)、薬にアクセスできることがどれほど大事なことかとかねがね思っていたので、嬉しく思う。

 職場で異なる課の方と打ち合わせ。少し緊張する。出だしこそ一人称が「わたくし」だったのに、一方的に話す場面から質疑応答に切り替わったタイミングで一人称が崩れる。「わたくし」から「ぼく」になって「わたくし」に戻ったと思えば「わたし」も混ざって。

 そういえば「俺」って使いたくないのは、自分の中の「選択しないことで表出される性表現」の一つだなと思う。一人称では「僕」をメインで使うけど、自意識が邪魔しなければ「自分」って使いたいときもある。小・中学生のとき同級生の女子の友達の中には一人称を「わたし」や「あたし」ではなく「うち」を選択している人が少なくなかった。それは集団における仲間意識ゆえの選択というのもあるかもしれない。その中にも「ぼく」や「俺」を使いたい人だっていたかもしれない。動機や意図は異なるだろうが、それぞれの価値観に基づいた選択の結果だなと思う。

 思えば、私はよく集団のバランスをとって生きていると思う。誰かと話すとき相手が脚を組んでいたら自分は組まない、集団で仲間はずれがあればはずれた方に自分はつくし、外れていた人に仲間が集まりその規模が大きくなるようであれば私はそこから外れてまた違う小集団であったり少数派に属すようにしていたなと思う。

 仕事終わりに駅前の映画館メルパでソフィア・コッポラオン・ザ・ロック』を観る。おもしろかった。Appleが関わっている作品だったのでMacBookiPadiPhoneなどが印象的に登場する。以前、ネット記事かツイッターでなにかでAppleがスポンサーについている作品では、Apple製品を使っている登場人物は悪役ではないみたいなことを見かけたことがある。そんな中、作品を書こうとPagesを立ち上げるも一向にキーボードが進まない、代わりにデスク周りに配置しているものが執拗に気になってしまう様子を描いていたのが可笑しかった。iPhoneのセキュリティの堅固さにも間接的に触れるシーンもそういえばあった。

 

10/9(金)

 出勤するぎりぎりまで『破局』読んで、読み終える。今日の晩、実家に帰るので、レンタカーのお店のカードが必要になる。カード入れのどこかにこないだしまったはずなのになかなか見つからなくて、カード入れを右から左からとなんども往復して時間を食う。

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 仕事終わり、レンタカーを借りるまでに少し時間があったので図書館に寄って予約していた本を借りる。

 実家への帰り道、たぬき、きつね、いたちに出くわす。今回は出くわしても慌てることなく安全に対処できた。先月の帰省では、たぬきの親子と出くわした。普段であれば道路を素早く横切ることが多いのだけど、その親子は道路からなかなか離れず、車と併走してきた。たぬきの親子に先導されて500mくらい走った。家に着くと玄関の電気が珍しく消えていた。スイッチを確認すると蛍光灯が切れているようだった。

 

10/10(土)

 朝ごはんはコーヒー、白バラ牛乳ヨーグルト、超塾山型5枚切り、食パンにはいちじくジャムとバターを塗る。お母さんとPodcastを収録する。母が緊張していたので、お蔵入りにする。

 お昼ごはんはアジの南蛮漬けと餃子と豆腐しめじネギの味噌汁、おでん。おでんは電子レンジを活用して大根をチンする時短ワザを試したらしい。母としては米のとぎ汁を使う手間を省いてそれなりにおいしくできたので続けたいと思っているが、父には不評らしい。

 ミル付きの黒胡椒を買ったらしく得意そうに胡椒を挽く母が可愛らしかった。「お〜」とバラエティ番組の編集の際加えられる客席の声みたいに必要以上にはやし立てると照れていた。

 仏間には赤梨がたくさん並んでいた。品種は 幸水 どうやら農協に出荷できなかった梨を仏間で保管していて、パッキングしたあと道の駅に出荷しているらしい。規格が小さいものは農協では取り扱ってもらえないとのこと。

 午後から母は習字へ。父と『マツコ&有吉 かりそめ天国』の遅れネットの再放送を見ながら話をする。最近のニュース、学術会議や菅内閣の話、加藤官房長官、白石議員の話など。父が加藤官房長官のことをひどく苦手としていることを知る。政治に対するスタンスを父とすり合わせたことはほとんどないけど、近い部分も少なからずあるように思う。異動の話もした。

 晩ごはんになすとトマトの煮物、コールスロー鶏もも肉とピーマンとトマトと玉ねぎの塩蒸し煮を作る。塩蒸し煮はにんにくを使うとすごく美味しくなる。

 

10/11(日)

 朝ごはんに、コーヒー、いちじくジャムを塗ったトースト、オハヨーのキウイヨーグルトを食べる。午前中姉が来て、足立区の白石議員の話をする。お姉ちゃんと一緒にkemioさんの動画を見る。

 先月の帰省のときから姉に『映画 架空OL日記』のブルーレイを貸している。それを少しずつ観ているようで、姪たちも一緒に観て楽しんでいるらしい。その影響で一番年下の小学1年生の姪が小学校の図書館で友達と一緒に「架空OL日記ごっこ」をしているらしい。実際にどんなことをしているのかはよくわからなかったが、想像するに可笑しくてくすくす笑ってしまう。

 姉と父が神田伯山さんの独演会へ。二人のツーショット写真を撮るチャンスだと長らく思っていたので、別の車で同行する。姪たちに車で出かけると声をかけると、甥と一番下の姪がついてきてくれた。上の二人の姪は、勉強したりピアノをするとのことで家にいるとのことだった。こういう風に少しずつ大人になっていくんだろうなあと思う。自分が小・中学生のとき祖父と一緒に出かけるのがなんとなく気恥ずかしくなった時期のことをふと思い出す。

 姉と父のツーショットを撮り終えたあと、実家の玄関の蛍光灯が切れていたことを思い出し、甥姪の二人と家電量販店で蛍光灯を買う。子どもの姿が目に入った店員さんから二人に風船が手渡される。目的が早々済んでしまったので店内を巡り、インターホン、オーディオ製品、そのほか家電製品を見て回る。冷蔵庫のコーナーで二人が次から次へと引き出しや開き戸を開ける。その度にくせえくせえと言ってけらけらと二人で笑っていた。

 スーパーに寄って晩ごはんの買い出し。鶏もも肉と春雨を買う。青果コーナーに行ったら、いちじくが安く売っていたので購入する。それと僕が好きな味喜というご飯屋さんで唐揚げと八宝菜を持ち帰りする。オードブル皿に対応するマイバッグを持っていなかったのに背伸びして袋はいらないと言ってしまったが、会計の最中にこのサイズなら袋もらってもよかったなあと後悔する。割り箸もなんとなく気が引けて3人分しかもらわなかった。

 帰宅。家電量販店で貰った風船を棒から外して、姪甥4人と私の5人で風船バレーをする。携帯をBluetoothスピーカーとつなぎ日本のヒットチャートのプレイリストを流す。あいみょんの裸の心や瑛人の香水はみんなが歌っていた。NiziUやTWICEの楽曲が流れるとみんな風船のラリーよりも歌う方により注力していた。姪たちはどちらかといえばBTSのことはそんなに好きじゃないような印象だったのにDynamiteのヒットもあってか、Dynamiteはノリノリで歌っていた。

 晩ごはんに水炊き鍋を作る。ご飯を食べる直前に食卓を囲んだ人たちにお茶を配る。家のポットのお茶を何にするかという裁量は父が大きく持っている。これまで烏龍茶やほうじ茶が主流だったが、最近は緑茶を淹れることが多いらしい。茶っ葉をずっとポットに入れているせいか、すごく苦い緑茶になっていて姪甥からは不評だった。4人とも2杯目からは水を積極的に飲んでいた。

 晩ごはんを食べたあと、祖父母の部屋でボードゲームをする。私は明日も仕事が休みだけど、姪甥たちは学校。いつもよりも早めに姉の家に帰りかける。車に乗った姉と姪甥たちと母と一緒に庭先から見送る。

 

10/12(月)

 年休をとったので今日も実家で過ごす。昨日日記をつけずに寝たので、メモで書いておいたParaviの解約を忘れていた。2週間前にキングオブコントを観るために無料登録をして、無料期間中に解約しようと思っていたのに月額が発生していまった。またやってしまった。こういうことをよくやってしまう。悔しい。

 朝ごはんに昨日買ったいちじくとクリームチーズとはちみつをトーストに載せたものを作った。母はトーストはバリバリしたものが好きなので、具材を乗せる前に一度表面を焼いたのだけど、それでももっとバリバリの食パンが好きらしい。すり合わせが難しいところ。

 午前中、叔母から電話がある。色々持って帰ってほしいものがあるとの連絡。手土産を持っていないことに後ろめたさを感じながら、叔母の家へ立ち寄る。梨、里芋、さつま芋、ゴーヤ、黒蜜、枝豆、昆布、そうめんなどをたくさんいただいた。

 そういえば、今回の帰省では土日ともに走った。実家に置いている走るとき用の靴が窮屈に感じた。靴下の厚みもだいたい同じくらいだったので、ひょっとしたら脚のサイズが大きくなっているのかもしれないと思う。26歳になっても脚が大きくなることに嬉しくなってしまう。

 お昼ごはんを作る。叔母からもらった枝付きの枝豆を切り分け茹でる。あんかけ焼きそばを作る。先月もそうだったのだけど、実家から離れるときものすごく寂しい気持ちになって泣きそうになってしまう。先月は、お昼ごはんの前に母と話をしているときに母の前でしくしく泣いてしまった。お昼ごはんを食べたあと、岡山に戻る。荷物をまとめているときに、また泣きそうになる。父から仏間にある幸水をたくさん持たせてもらう。叔母からもたくさん梨を貰ったが、食べつけている実家の梨が一番美味しいと父に伝えると照れていた。父のことを大切に思っていることを言動や態度には示しているが、直接伝えられないことがもどかしい。

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 帰り道にある道の駅で野菜をしこたま買い込む。レンタカーを返してから、キム・ドヨン『82年生まれ、キム・ジヨン』を観る。コン・ユ演じるデヒョンの女性に対する価値観が結婚当初から現在に至るまでにアップデートされている様子が描かれていた。

 明日でスターチャンネルの契約が切れるので解約手続きをする。もともと『ウォッチメン』を観ることが目的だったのでひとまず本来の目的は果たせたが、『ある家族の肖像/アイ・ノウ・ディス・マッチ・イズ・トゥルー』は結局2話までしか観れなかった。

 クワイエット・ストームベストのプレイリストきっかけで、DeBargeの「I Like It」を繰り返し聴いている。イントロに秋めいた寂寞さみたいなものを感じる。なぜだか分からないけど毎回泣きそうになる。季節柄か、自分のことやしばらく会えていない友達のこと、会ったことはないけれど関わりのあるネットの友達のこと、両親や家族のこと、祖父母のことなどいろんなことが思い返される。