2020年9月によく聴いた曲

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 2020年9月によく聴いた曲をまとめました。最後にApple MusicとSpotifyのプレイリストを掲載しているので、衣類や寝具を夏物から秋冬物へ衣替えする準備やそれにともなう洗濯の合間など、お時間のあるときによろしければぜひ聴いてみてください。

 

 プレイリストに追加した曲の中から8曲紹介します。

 

 ・King & Prince - ナミウテココロ

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 2020年9月2日にリリースされたKing & Prince2枚目となるアルバム『L&』に収録されている、Awesome City Club・atagiさんプロデュースの楽曲です。焦る気持ちや不安な心情の中で、模索しながらも自分の心と向き合い続けていくことが歌われています。

 楽曲中の素敵な部分をいくつか紹介します。まず、Aメロ出だしを歌う髙橋海人さん(ジャケット2列目左)の歌声と、R&B/ソウルベースの楽曲との相性が抜群にいいです。歌い出しを髙橋さんで行こうと決められた方はすごくメンバーの特性を理解していると感じました。その後、Bメロ出だしを歌う岸優太さん(ジャケット1列目右)が丸みのある柔らかい歌声で楽曲全体を盛り立てる役割を果たしていています。そこからサビのキンプリの綺麗なユニゾンにつながる展開に大満足です。ラストサビパートの3分2秒のところで、メンバーのどなたかが \オァィッ/ と漏れるように歌うファインプレーがあって素晴らしいのですが、一体どなたか歌っているのか分からず悔しく思っています。音源を紹介できないのがもどかしいですが、CDの購入やレンタルでぜひ楽曲を聴いてみてください。

 

氷川きよし - キニシナイ

 2020年6月9日にリリースされた『Papillon(パピヨン)-ボヘミアン・ラプソディ-』に収録されている楽曲です。全歌詞パンチラインです。惜しむらくは、マスタリングで、少し甘い感じがします。具体的にはリズムなどの低い音がどっしりとしておらず、楽曲全体がやや軽やかに聴こえ過ぎてしまうのがちょっとだけもったいないです。

 氷川きよしさんの所属されるレコード会社日本コロムビアでは、本アルバムのストリーミング配信は行なっておらず、収録曲をセールスの落ち着きや時機を見て、1曲ずつ配信リリースするかたちをとっています。6月23日に表題曲「Papillon」、6月30日に「おもひぞら」、時間をあけて9月5日に「ボヘミアン・ラプソディ」、9月6日に「キニシナイ」と、これまでにアルバム初収録となる4曲の楽曲を各種ストリーミングサービスにて配信しています。

 

 さらに、今月13日に発売予定のアルバムの表題曲である「生々流転」のアプローチが素晴らしいのであわせて紹介させてください。「限界突破×サバイバー」以降に打ち出してきたメッセージをアーティスト活動の原点である演歌に乗せて発信することで、「氷川きよしさんの演歌」というコンテクストがこれまでのものとがらっと変わり、楽曲がパーソナリティの乗った厚みのある独自のメッセージとして打ち出されています。

 Lil Nas X「Old Town Road」やKacey Musgraves「High Horse」のような既存の音楽ジャンルにそのジャンルがあまり持ち合わせていない価値観を差し込むような氷川きよしさんの取り組み、前人未到の領域を切り開かれていてとても素敵だと思います。

 

tofubeats - RUN REMIX (feat. KREVA & VaVa)


 2018年のtofubeatsさん4枚目のアルバム『RUN』収録の表題曲を、KREVAさんとVaVaさんが客演するかたちでリミックス作品としてリリースしたものです。自分の話になりますが、原曲をそれこそまさに走るときや自分を鼓舞するときなど折々で聴いていた大好きな楽曲だったので、ここ最近の音楽業界でややトレンドのようになっている、先輩もしくは似たジャンルのアーティストを招いたリミックス作品(Doja Cat「Say So (feat. Nicki Minaj)」、Megan Thee Stallion「Savage (feat. Beyoncé)」、Dua Lipa「Levitating (feat. Madonna & Missy Elliott)」)の流れの一つのように勝手に感じて嬉しかったです。

 tofubeatsさんの「ん+子音」の発声の仕方に艶やかさを感じてしまいます。それをやめたいと思っているのに、ついその箇所で耳をそばだててる自分がいて嫌になります。この楽曲の中では、「こんなに」「どんなに」の「nな」の部分です。艶やかです。

  

矢島美容室 - YAZIMA魂 -おかゆいところはございませんか-

 こないだ矢島美容室のアルバムを久しぶりに聴き返したときに名曲だと改めて感じた楽曲です。そのアーティストしか取り扱えないような個性的な側面を発端に一般的な話題にテーマを移し、そして最後にはまた最初の個性的なテーマに戻ってくるという盤石の歌詞構成も非常によくできていると思います。製作陣は異なりますが、木梨さんソロ名義の「GG STAND UP!!」や「I LOVE YOU だもんで。」にも同様の歌詞の構成力を感じます。デビュー曲「ニホンノミカタ -ネバダカラキマシタ-」、映画主題歌「アイドルみたいに歌わせて(feat. プリンセス・セイコ)」も屈指の名曲ですが、これらの楽曲に負けず劣らずの名曲だと思います。アルバム『おかゆいところはございませんか?』のリリースから10年経ちますが、今だにシングルカットしてほしいと強く思っている楽曲です。ちなみに矢島美容室の英語アーティスト名は「YAZIMA BEAUTY SALON」です。かっこいいです。

 日本や今の時代について歌い(2番Aメロ”今の若いモン オジサンはいうけど メクソとハナクソね”というリリックが最高)、自分を鼓舞する歌詞は、ディスコティックな楽曲の雰囲気とあいまってハロー!プロジェクトの楽曲が想起されます。同じような話題として少し寄り道しますが、同じくハロー!プロジェクトのアプローチに近いと感じた楽曲が2018年にリリースされた4 Luxury「花ざかりWeekend✿」です。

 

・Softly - Kyle Lux


 昨年1st EP『No Roof Access』をリリースしたサウスカロライナ出身のアーティスト・Kyle Luxの2020年初めてとなる楽曲です。シンプルなリズムに心地いいゴスペルコーラスが乗ったポップR&B。Pure Nowhereのインタビューで、Softlyについてこれまでの曲との違いについて問われた際、Kyle Luxは次のように答えています。

 Kyle Lux「Softlyは、私がリリースした楽曲で、教会でのバッググラウンドから直接影響を受けていると感じる(主にBridge部分で)初めての一曲です。楽器のない聖歌隊で育ったので、私たちの音楽は全てアカペラでした。このBridgeは、ある意味でその経験を内包しています。私はスタジオに友達を一同に集めて、手拍子や群衆の雰囲気を一緒くたにレコーディングしました。この生の要素が他の曲とは違う気がします。これはおそらく、今後のプロジェクト※でよりポップに傾倒する一曲でもあります。」

(Pure Nowhereでのインタビューより)

※Kyle Luxは、近日中にSoftlyも収録された2nd EPのリリースをアナウンスしています。

 また、インタビューの最後にKyleはLAにある鉄板焼きさんHana Teppanyakiというお店をおすすめしています。音楽ジャンルや年齢や出身だけじゃなく、こういった情報がインタビューに載っていると読んでいて楽しいです。

 

・ドント・ストップ・ザ・ダンス  -  フィロソフィーのダンス


 ファンク・ソウル・ディスコをベースとして、常に高品質の楽曲をリリースしてきたアイドルグループ・フィロソフィーのダンスのメジャーデビューシングルです。楽曲の作詞にはヒャダインさんこと前山田健一さんのお名前がクレジットされています。性別や年齢、容姿などをたとえ他人と比べられたり、他者基準で評価されたとしても、私は私だから素晴らしいというメッセージが随所に込められています。ヒャダインさんはこの楽曲のリリースに際し、以下の通りコメントを寄せています。

 ヒャダイン「メジャーデビューおめでとうございます!しかしこの時代、メジャーもインディーもあんまり境目がないと思っています。皆様の活動は十分に素晴らしいので是非そのままの勢いでいてください。女の子でいることを楽しむ女性って素敵ですよね。今回の楽曲は、4人とも違う個性で女の子を楽しんでいるのでそこを切り取らせていただきました。」

フィロソフィーのダンス 公式HPより)

 ちなみに、カップリング「なんで?」の歌詞に、”逃した魚の水族館って感じの街でWeekend Night”という突飛な歌詞がふいに登場します。この言葉選びはもしや...と思いクレジットを調べると、児玉雨子先生のお名前がありました。

 

・Want You In My Room - Carly Rae Jepsen 

 Carly Rae Jepsenが昨年リリースした4枚目のアルバム『Dedicated』に収録されている楽曲です。Daft PunkやCyndi Lauperの初期作品を連想させると言われているトラックに加え、スケベな歌詞が印象的な楽曲です。

 自分の話になるのですが、私はCarly Rae Jepsenの楽曲を躊躇なく聴くのにすごく時間がかかりました。『Glee』などの影響もありいわゆる洋楽を聴くようになった高校生の頃、Carly Rae Jepsenの「Call Me Maybe」は私の暮らしていた地方の高校でもとても流行していました。

 一方、その当時の私といえば、流行りものに手放しで乗れない自意識が今よりも強く渦巻いており、同級生の友達が「Carly Rae Jepsenかわいい」「Carlyの曲いいよね」と口にして、「Call Me Maybe」や「Good Time」をカジュアルに歌う様子にどこか同調できず、Carlyの楽曲を避けていたところがありました。(そのころの私はBillboard HOT 100やUKのOfficial Singles Chart Top 40などのヒットチャートを追いかけていて、現地で流行っている楽曲と、国内プロモーションが積極的に行われて日本で流行っている楽曲とを区別し、後者を軽んじていたと思います。そうすることで私はみんなとは違うといういらぬプライドを持っていました。今思えば、楽曲を知るきっかけや思い入れは人それぞれなので軽視するのは間違っているし失礼なことをしたと反省しています。)そういう気持ちを抱えていたせいで、高校では2012年リリースの『Kiss』を聴けず、大学では2015年リリースの『E•MO•TION』をリアルタイムで聴くことができませんでした。

 そのようなうだうだした自意識を打ち破ってくれたきっかけとなったのが、2017年にリリースされた『BE•MO•TION: Side B +』に収録されている「Cut To The Feeling」です。どういうきっかけで聴いたのかはっきりとは覚えていないのですが、初めて聴いたとき、それまでに自分が長らく背負ってきたCarlyに対する自意識が取り払われたような軽い気持ちになったのを覚えています。誰かがその楽曲やアーティストをどう思っているかではなく、自分がその楽曲を聴いてどう感じたかをもっと大事にしたいと思うきっかけの1つになったとても大切な楽曲です。これ以降、Carlyの楽曲はリアルタイムで追いかけられるようになりました。今月はそのことをふいに思い出し、Carlyの楽曲の聴き返した1ヶ月でした。

 月が変わり10月は同様の思いを抱え実は通れずにいる『ARTPOP』以前のLady Gagaのアルバム作品を聴いてみようと思っています。 

 

・For Real (feat. Kemba) - Jharrel Jerome

 バリー・ジェンキンス監督の『ムーンライト』やエミー賞を受賞したNetflix『ボクらを見る目』に出演している俳優のJharrel Jeromeが9月25日にKembaを客演に招いた「For Real」をリリースし、アーティストとしてデビューを果たしました。Jharrel Jeromeは、FADERのインタビューの中で本楽曲について次のように話しています。

 Jharrel Jerome「 『For Real』は、私がアーティストとして誰であるかということの片鱗に過ぎません。コアなファンにとって、私はソーシャルメディアにおいてよくわからない人物です。だからこの楽曲では、私のソーシャルメディアへの恐れと、人々を受け入れることを伝えています。私はいつも自信を持っているような雰囲気を醸すことができるけれど、それでも自分自身を殻の中に閉じ込めています。私は賞賛から身を隠し、注目から身を隠し、期待から身を隠します。」

 

 私は人の名前を覚えるのが本当に苦手で、職場で1年以上は少なくとも関わっている人のお名前を急に思い出せなくなってしまうことがあります。先日もその方を後ろから呼び止めなければならない場面があった際、その人を走って追いかけながら、やばいやばいこの人の名前また忘れちゃったよどうしようとパニックになりながら、とにかく切々とすみませんと呼びかけて気づいてもらうしかありませんでした。

 普通だったら大きな声でその人の名前を呼ぶ場面だと想定されるところ、かたくなにすみませんすみませんと懇々と呼びかけられたら、こいつ名前覚えていないんじゃないかと相手方もひょっとしたら感づいているかもしれません。そう思うと余計に苦々しい気持ちになります。来月もよろしくお願いします。