FEVER「Stop!」とそれを支える製作陣について

 4月21日にリリースされたタイのアイドルグループFEVERの新曲「Stop!」が好きで最近よく聴いています。

 クレジットを確認すると、今回の楽曲もGym and SwimとSeal PillowのメンバーであるChalermpol Soongsakさんが全体的なプロデュースを手がけています。

f:id:muda-muda:20200425161433j:plain

Chalermpol Soongsakさん

 加えて、作詞・作曲・編曲にはアイドル好きで知られるタイのラッパーmarkmywords.さんの名前が確認できます。本楽曲中にはラップパートこそないものの、サビの要所では押韻が手堅く施されています。(子音+aiの反復

 markmywords.さんはこれまでにバンコクで活動するBNK48のメンバー・Punへのオリジナルファンソング「Sister」のリリースや、FEVERの1stシングル「Start Again」のカップリング曲「Ghost World」のバンドカバー、FEVERのメンバーであるBaifernへのオリジナルファンソング「Nostalgia」をリリースするなど、独自の手法でさまざまなアイドルを応援しています。今回はその地道なラブコールが本家に届いたかたちでのフックアップとなったようです。

 (補足:makemywords.さんはこの新型コロナウイルスにかかる期間中、トラック制作と日記を掛け合わせた『quarantine diary』を企画し、これまでに「#1 アイドルイベント行きたい」、「#2 みんな『あつまれ どうぶつの森』やってる」という2つの動画を投稿されています。)

 サポートアクトとしてベースを務めるのは、Thanadol Khuntichoteさん。勉強不足で私は彼のことを知りませんでした。お名前を検索したところ、以前Friday Night Plansが竹内まりやさんの「Plastic Love」をカバーされた際の動画でベースとしてサポートしておられました。

 ボーカルディレクターにはこれまでの楽曲に引き続き、TELEx TELEXsのSorrarat Limpanopparatさんがクレジット。TELEx TELEXsは、昨年のサマーソニック2019に出演。このタイミングにあわせ、タイで2018年にリリースした『Enough For Loneliness and Internet Today(邦題:孤独に満ち溢れた現代とネット社会に疲れたアナタへ)』を2019年7月17日にリリース。また、タイでのリリースから1ヶ月遅れるかたちで『Yes I'm 25 and I'm Single(邦題:25歳、独身の私)』を同年12月25日にリリースしています。どの楽曲にもFEVERのメンバーの歌い方の源流が感じられるのですが、最近の楽曲の中では最新EPに収録されている「June」の歌い方にその特徴が強く感じられました。

 ミックスおよびマスタリングはMonthon Dilokchavanisさん。タイの音楽レーベルWhattheduck所属アーティストのミックスも数多く手がけておられる功労者です。私がMonthon Dilokchavanisさんのミックス・マスタリングされた楽曲で特に好きなのは、BOWKYLIONさんの「Untold」、Safeplanet「Answer」、Numcha「Keep Cold」、Plastic Plastic「Hum」の4曲です。

f:id:muda-muda:20200425164042j:plain

 楽曲に花を添えるアニメーションも印象的です。マムアンちゃんで知られるウィスット・ポンニミットさんのようなタッチのイラストは、同じくタイを拠点に活動するイラストレーターlinnatammさんが手がけられています。YouTubeでのオーディオ公開およびイラストレーターの起用はFEVERの楽曲では初めての試みです。タイのインディーシーンと結びつきながら、今後もこのようにLyric VideoやMusic Videoなどで様々なアーティストを起用していくFEVER独自の展開を期待しています。