UKI EYE『Truly, My First Love』を聴いて

  あなたのUKI EYEはどこから?と尋ねられたら、私は「Cold Rainy Karma」から、と答えます。

 勇気と愛の歌を歌うシンガーソングライターUKI EYEさんの7年ぶりの新作EP『Truly, My First Love』が4月17日にリリースされました。「Cold Rainy Karma」から入った私にとって初めてのリアルタイムでのEPリリースということで、その配信日を楽しみにしていました。

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  2020年3月22日、EPのリリースが発表され同時にジャケットと楽曲リストが公開されました。ジャケットを見たとき、真っ先に思い浮かんだのはKelly Clarksonの「Heartbeat Song」が収録された『Piece by Piece』のジャケット。ディーヴァの得意技、分身。

 「Heartbeat Song」が頭をよぎったのはたまたまではありません。UKI EYEさんのエグゼクティブプロデューサー・ゆずひめさんはこの楽曲について、過去に以下のとおり言及されています。

  もうとにかくBメロが好き。そのことが強く伝わってきます。この影響を多分に受け、この曲のBメロを聴くとゆずひめさんのことが胸の内に浮かびます。私にとってお気に入りのBメロって何だろうと意識したのもこのつぶやきがきっかけでした。(ちなみに私はDemi LovatoのSorry Not SorryのBメロが大好きです。出だしは言葉数多くリズミカルに刻んで楽曲全体にアクセルをかける役割を果たし、サビが近づくにつれて徐々に言葉数を減らし、言葉数・リズムの意識からメロディーへ意識をリスナーを向かわせる展開がBメロという役割を自覚的にこなしている感じがします。)

 

  一週間後にリリースを控えた2020年4月11日、EPのTeaserが公開されました。3曲目に据えられた「Hot Guy」のつかみを聴いたとき、参考にしている楽曲の一つがぱっと思い浮かびました。それはMNEKの「Tongue」です。この想起も決してたまたまではなくて、これまでゆずひめさんと細く長く関わってきたからこそ感得できたものだと思わず微笑んでしまいました。過去にゆずひめさんは「Tongue」MVリリース当時こう言及されています。

  わかる。

 

 そして、2020年4月17日『Truly, My First Love』がリリースされました。寝る前、起床後、仕事終わりにそれぞれ聴いて、楽曲を味わいました。今回はそれぞれの楽曲について参考にしている・影響を与えているのではないかと思った楽曲や感じたことを書いてみます。

 ゆずひめさんのブログKelly ClarksonとMNEKについての記述もあって嬉しくなりました。

 

#01 チョコレート・ボーイ(spring mix)

 サビのメロディーで、「飽きたのよ」と「受け止めて」の部分の高く飛び出るところがいいアクセントになっていて好きです。

 

#02 Strong Wings

□参考にしている・影響を受けているのではないかと感じた曲

・Cold Rainy Karma/UKI EYE

 妖艶なメロディーに重なるHmmのフレーズを聴いた途端、これは「Cold Rainy Karma」からの引用だと考えつきました。翼を歌った歌には自分や聴き手を鼓舞する楽曲が少なくない中、推しの翼を歌う切ない歌はなかなかないと思います。また「チョコレート・ボーイ」での推しへ寄せる気持ちの一方で、同時に推しとの距離を保とうとしてしまう微妙な心模様が曲順によって表現されていると感じました。

 

#03 Hot Guy

 □参考にしている・影響を受けているのではないかと感じた曲

・Tongue/MNEK

・7 rings/Ariana Grande

   Greedyなアゲ楽曲です。この曲が2曲目に置かれてもよさそうな気がしますが、1曲目と2曲目との関連性で考えるとそこは順番を崩さず、3曲目に置かれているのかなと解釈しました。

 

#04 #このおバカさんに恋してる

□参考にしている・影響を受けているのではないかと感じた曲

・Dear.../西野カナ

 構成がおもしろい。2番以降、特に落ちサビからのラストサビの展開がエモーショナルで最高。アレンジが加わるラストサビが大好き。ちょけてそうで実直なお人柄が楽曲に現れていると強く感じました。

#05 MY PRIDE

□参考にしている・影響を受けているのではないかと感じた曲

・HAPPINESS/PENTAGON

・Go West/Pet Shop Boys(オリジナルはVillage People

・Happy Merry Christmas/ハピメリ

 1〜4曲目の推しに対する愛情やよこしまな気持ちなど混濁した感情と葛藤し、向き合った末にたどり着いた境地のように思える楽曲です。優しさが溢れていて素敵です。映画に例えると、4曲目までは本編、5曲目からはお祭りムードのエンドロールという印象を受けました。また、ときに私たちを分断する様々な障壁について、取り払って祝福するという明るいメッセージが打ち出されているのもじんとしました。過去にゆずひめさんはジェンダーについて、以下のように言及されています。

  ときにおどけつつ、でも言うことは言っていく。その姿勢が美しいです。

 

 おわりに、ゆずひめさんはInstagramで自身が購入されたCDの投稿を続けておられます。そのアカウント名は以前までは「never_stream(あたしゃストリームしないよ)」だったのですが、現在は「i_still_love_cd(やっぱりCDが好き)」に変更されています。この気持ちの変化について、ゆずひめさんが新しく購入されたCDを投稿される度に素敵だなあと思っているのですが、なかなか伝える機会がないのでこの場を使ってお伝えします。超素敵です。I love u, queen❤️ beautiful dreamer❤️EPのリリースおめでとうございます。