【雑記】鳥取県立博物館

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 2/24日曜日。午後に鳥取県立博物館を訪れた。鳥取県立博物館では現在企画展「Our Collections!―鳥取県のアート・コレクションの、これまでとこれから―」を開催している。2024年に県立としては初となる美術館が鳥取県にできる。これを受けて、県博の持つ美術コレクションを中心とした作品たちを展示し、県民の人たちによりアートに関心を持ってもらい、ともによりよい美術館を模索していこうと提案するような意欲的な企画展だった。

 展示の構成は第一章「鳥取県がこれまでに進めてきた美術コレクション収集の歴史作品と合わせて紹介」、第二章「『前田寛治とその周辺』『砂のある風景』など、幾つかのテーマを設定した作品を紹介」、第三章「事前に行った人気投票で選ばれた作品を紹介」、第四章「美術館の新しい収集方針の原案をイメージできる作品を、美術館や個人、画廊等のコレクションから借用して紹介」という構成で、特に第四章の章解説パネルが印象的だった。

 新しく倉吉市内に整備される県立美術館では、これまでの収集方針に加えて、鳥取県という一つの地域のみならず多様な世界との新たな出合いを提案できるコレクションの形成を目指していきたいと考えています。「未来をつくる美術館」という新しい美術館のコンセプトには未来に向けて、美術の歩みに寄り添い続けることのできる収集方針の必要性を暗示しています。国内外の作家の優れた美術作品を、持続的、継続的に収集し、それによって次世代の作家たちの創造性を鼓舞し、新しい表現をこの鳥取という地から生み出すことを私たちは目指したいと考えています。

 鳥取県でずっと暮らしてきた私にとって、鳥取県立美術館の開館は非常に嬉しいことであるが、目前にある現実をないがしろにしてはいけない。これは県博が長年渡り様々なジャンルのコレクションを収集してきた結果、現在の県博の収蔵庫が保存過多になってしまい、調査・研究・活用・展示が十分にできていないということである。そしてこの美術館新設を機に県博の美術作品群を美術館に移し、美術は美術館へ、現在の博物館は自然、歴史、民俗へと機能を分節するという役割も兼ねている。

 また現存する県中部のアートを発信する拠点とどのようにうまく共存していくかということも今後考えていくべきテーマである。市内の子どもたちによる書道や絵画、工作品を展示するギャラリーの機能として倉吉未来中心のギャラリー、既存の価値観にとらわれない作家たちの作品を精力的に展示しているくらよしアートミュージアム無心、もともと小学校だった円形校舎を再活用して設立された円形劇場くらよしフィギュアミュージアムなど市内には様々なアートの発信拠点がある。これらとも相補的に結びついていくような取り組みを先駆的に倉吉市にはやってほしいし、そのために自分ができることがあれば積極的に関わっていきたい。