【雑記】10月の里帰りのそのあと

 10/20、実家から岡山に戻ってきて、折坂悠太さんのライブ「折坂悠太のツーと言えばカー2019」に行く。会場は蔭凉寺。お寺なのに音響環境が十分に整っていて驚いた。着飾りのない凛としたライブだった。去年は弾き語り投げ銭ライブを全国各地でしていた。昨年リリースした『平成』以降、または『朝顔』以降、折坂さんを知っている方が増えているのだということが体感的に分かった。

 ライブとは直接関係のない話だけど、自分は座高が高い。上半身が長くて下半身が短い。こういう体格だと、ライブや講演、舞台、映画などの座席に前列との段差が設けられていないと座席選びが難しい。できれば前の方に座りたいけど、前の席に座ったら、後ろの人に視界の邪魔をしてしまわないかと考えてしまう。前の席に座ったときは、背中をできるだけ猫背にするとか、失礼でなければ椅子に深く座って頭の位置を下げるよう意識している。今回のライブ会場も座席に段差が設けられていないものだったのでそのことを考えるあまり、十分に集中できなかった。

 ライブ終わり、K野さん宅へ梨を届けに行く。玄関先でおすそ分けを渡して帰るのも良かったけど、なんとなくちょっと話したい気分だったので、K野さん宅で家飲み会を提案する。押し付けがましいお願いをしてしまったので、寄る前にセブンでお酒を3缶とキャンディチーズ、冷凍の焼き鳥、ピクルスを買って立ち寄る。取り皿がいらないものを選ぶ。箸など洗い物がなくて済むように家から竹串を持って行く。こないだHuluに登録した際に観た『有吉の壁12』が面白かったので、一緒に観る。友近さんのウキウキマーちゃんのところで一緒にけらけら笑った。

 

 10/21、明日は祝日。仕事終わりにイオンシネマのレイトショーで『マレフィセント2』を観る。2014年に公開された前作から5年ぶりの続編。ストーリーはおさらいせず観た。ああ、そうだったそうだったと色々思い出しながら観た。マレフィセントの独特の抑揚というか台詞回しを真似したくなる。”Ruin my morning.”とか、”私は招かれざる客よ、誰が行くもんですか”とか、”Hello beasty.”とか。面白かったのは覚醒したマレフィセントが羽根をばたつかせるシーン。そんなに長く見せる必要あるか?というくらい尺が長いように感じた。それと教会に閉じ込められた妖精たちをオーロラとディアヴァルが救い出す、という展開までは理解できたけど、いざ中の様子を知ってまで、外に連れ出す判断は危なっかしいと思った。クレジットにあった”Best Boy”という役割がわからなかったので調べる。

 7月に『マレフィセント2』の公開が発表されたときに、大学生の頃に何度かお会いしたことのある男性のことを思い出した。前作は、MOVIX仙台でその人と観た。アフリカ系の男性だった。映画を観ている最中、笑いを我慢せず自然に笑う様子が好きだったと思い出す。その方とは、晩ごはんを一緒に食べたり、スーパー銭湯に一緒に行った。『マレフィセント』を観終わった後に、長町のモールで中華料理屋さんで油淋鶏定食を食べた。

 何度かお会いしたのちに、初めてその方のお家を訪れた。なんだかそういう雰囲気になったとき、その方がベッドの向かいにあるiMac操作して、Beyoncéの「1+1」をかけた。音楽が流れ始めたのを確認して、振り返った彼が眉をあげて微笑んだ表情は今でも覚えている。僕はそれまで、Beyoncéの楽曲と言えばライアン・マーフィー『glee』で聴く曲くらいしか知らなかった。家に帰ってから、iMacのデスクトップに写っていたジャケット写真を思い出して楽曲を調べて聴いた。『4』はそういう思い出があるアルバム。

 その方はパンテーンのトリートメントを使っておられた。髪からとてもいい匂いがした。そのトリートメントの匂いを嗅ぐと、今でもふとその人のことを思い出す。ドライブをしているときに会話が途切れ途切れになると、「今何考えてる?」とよく聞かれた。そういうときなんて答えたらいいのかよく分からず困ったこともくっついて思い出す。

 

 10/25、午前中、清水ミチコさんが朝日新聞に先日亡くなられた和田誠さんに関するコラムを掲載していたので読む。

 モノマネも大好きだった和田さん。SFや怖い話も凄く上手で、なのに奥様の平野レミさんが「ねえ、あれ話してあげてよ、最後に壁から手が出るって怖い話」などと、オチを先に言われ、困惑して笑っちゃってる顔なども、大好きでした。

 和田さんにもう会えなくて悲しいけど、ご夫妻で並んでる姿も好きだった私は、もうあのきれいなカップルは見られないのだな、と思うと二重に悲しいです。でも、天国に行く楽しみをもらったと思えばいいね。『お楽しみはこれからだ』、というくらいで。

(2019年10月25日朝日新聞より) 

 買い物をして家の前に到着すると今日も向かいの人が上半身裸で洗濯物を干していた。この日の気温は14度。強い。