【映画】架空 『劇場版 架空OL日記』を想像する

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 2020年2月に劇場版『架空OL日記』が公開される。2019年6月7日に『劇場版 架空OL日記(仮)』の製作決定のニュースが発表。そして、先日10月28日に劇場版『架空OL日記』の新キャストが発表される。

 

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 同僚・ソヨン役としてシム・ウンギョンさん、小野寺課長役として、本作中にマキちゃんが痩せたら似ているという例えで名前が登場する坂井真紀さん、地元の友達・リエ役として志田未来さん、地元の友達・クミ役として石橋菜津美さんの4名。このときそれまでの題字もリニューアル。(もしかしたらこの題字はこのニュースのためだけのフォントかもしれない)

 

 今回は『劇場版 架空OL日記』の公開を楽しみに待つ一つの方法として、その内容を予想してみたい。この予想の目的は、映画のシナリオを原作未使用のエピソードから当てたいということではない。むしろ、劇場版に向けて、これまでのドラマの内容や、ドラマの好きなシーンや会話、ドラマを通して考えたこと、バカリズムさんがこのドラマで脚本を手がけ、主演を務めるにあたり、意識されていたと思うことなどをあれこれ振り返ることで、これから公開される映画をますます楽しみに待ちたいというのがその主たる目的。こうじゃなきゃ嫌だじゃなくて、こういうのも面白そうというような感じ。ドラマで言えば、第4話の女子更衣室で、酒木さんにとって酢豚のパイナップルがありかなしかを考えるようなもの。考えることそれ自体が楽しい。

 

 予想に入る前に『架空OL日記』のここが好きというところを考えてみる。その一つにはいわゆる「女性言葉」を使わないところがある。この点について、インタビューでバカリズムさんは次のように述べている。

 バカリズム「ドラマの中の女性っぽい言葉って、実は普通の女性は使わないんですね。そういう違和感はずっとあって、これまでも自分がドラマを書くときは、そこは意識して、そうしないようにしてたんです。他の登場人物もそうなんですけど、台詞を活字で見ると、女性が喋っているとは分かりづらい文章なんですよ。実際、普通の女の人がそれくらいの喋り方だから、映像にすると自然に見えるということだと思います。」

(2017年10月18日『ダ・ヴィンチ』でのインタビューhttps://ddnavi.com/interview/406382/a/ より)

 ドラマ中、舌打ちが頻繁に登場する(第4話トイレットペーパー、第5話お茶っ葉補充、第5話就寝前の羽田からのLINE)。最短距離で移動する際にベンチが障害としてあったら、迂回せずベンチに登って直線距離で移動する(第1話ハロゲンヒーター)。

 バカリズムさんは、気恥ずかしさや嘘、見栄、ずるさ、虚勢やごまかしから立ち上る人の愛おしい愚かしさみたいなものを徹底して描く。その想いは普段ネタで作られているコントや脚本を手がけた『住住』や『生田家の朝』でも通底しているように感じる。

 そういったものを例えば『架空OL日記』第2話で感じる。『天使な小生意気』を重いよ、と言ってさり気なくマキちゃんに持たせようとし、漫画が軽いと余裕をみせるサエちゃんに自分のランチバッグまで持たせようとする升野さん。第4話では、トイレットペーパーを誰が一番替えているか食堂で話すシーンで一人黙りこくるサエちゃんを描く。第5話では書類の様式が変わったことに対応できず、新人と偽って升野さんが窓口対応する。第7話で咀嚼回数が少ないことを指摘されるも「でも私は牛乳はけっこう噛んで飲むんです」とかおりんが謎の巻き返しを見せる。そして羽田はコーヒーやミルクティーに湯を加え、限りなく湯に近い何かを飲んでいる。

 また、このドラマではシーンごとに構成員が少しずつ変わる。集団における構成員に増減があることで起こる微妙な関係性の変化にも意識が向けられている。その変化もこのドラマの好きなところ。お笑いナタリーのインタビューでバカリズムさんは次のように話している。

 バカリズム「台本を書くときはそんなに意識してなかったんですけど、僕と同期のマキちゃん(夏帆)、後輩のサエちゃんの3人でいるときと、小峰様(臼田あさ美)と酒木さん(山田真歩)っていう先輩を含めた5人でいるときの僕とマキちゃんの態度が微妙に違うんです。3人のときは自分たちが一番上だから、サエちゃんに対してちょっと強め。でも先輩がいるとちゃんと気を遣って抑えめにする。台本で書いたわけではないのに、なんとなくその空気感が漂っているのが面白かったですね。」

(「架空OL日記」DVD-BOX特集 お笑いナタリーより)

 例えば、第2話。かおりんが毎朝みんなに買ってくる飲み物についてのエピソード、サエちゃんがぶどうゼリーを飲む話のところで、そのことを真っ先に指摘するのは小峰様。小峰様がサエちゃんをつついてから、みんなでつつくみたいな空気がある。他の場面では酒木さんがサエちゃんさ〜と切り出したりする。第4話、サエちゃんが夢で地球を滅亡させてしまったことについて、女子更衣室で升野さんとマキちゃんに後悔たっぷりに話すシーン。ほとんどのシーンでサエちゃんのことをサエちゃん呼びしている升野さんとマキちゃんだが、ここではサエちゃんのことを「お前」呼ばわりしている。かと思えば、サエちゃんと二人きりになったときの升野さんは結構サエちゃんに優しい。

 

 劇場版の公開にあたりざっくりと予想してみたことを10こ挙げてみる。

 

予想その1:劇場版公開前にドラマ第2シーズンの放送をする

 理由としては、Twitterバカリズムさんが何かのドラマの原稿を最近ずっと書いている様子を投稿しているから。→9月3日、ZIP番組内のドラマ『生田家の朝』第2シーズン放送が発表。架空OL日記のドラマ第2シーズンはなさそうなことが濃厚になる。『生田家の朝』スピンオフ作品『緑山家の朝』も最高でした。映画公開までドラマ版をまた繰り返し観ます。

 

予想その2:映画は3月上旬が4月末に公開する

 映画公開は3月上旬か4月末を予想。でも3月上旬はアカデミー関連作がばんばん公開されがち。埋もれてしまう。原作の5月3日~のエピソードが好きなので4月末を予想。いずれにせよ春先に公開だと思う。→10月末のニュース記事などで2月に公開されることが発表。そうなれば個人的には2月7日から公開してほしい。

 

予想その3:劇場版ではコミネの日を序盤で扱う

 2月7日に公開してほしい大きな理由には、その前日2月6日がコミネの日だからというのがある。序盤、みんなが小峰様に向かってロールケーキを頬張るシーンを見たい。

 

予想その4:2月公開であれば、設定もおそらく同時期にする

 衣装は変えない。劇場版だからと意気込まないとバカリズムさんも住田さんもインタビューで話されていた。オレンジのマフラーを首に巻き白いパーカーに黒いアウターを羽織った升野さん。ドラマ版から生活が地続きであることを印象付ける。他の人のアウターも一緒。

 

予想その5:映画冒頭シーンは、第1話の冒頭と同じく起床から始まる

 6時半に鳴り出す携帯のアラーム音で起床し、洗面台の蛇口をひねってトイレに行き、トイレの間中に温まった水で顔を洗うあの一連の流れをまるっとまた見たい。

 

予想その5:劇中、小峰コールが起こる

 マキちゃんがその声かけ人となる小峰様の勇姿を讃える小峰コール。ドラマでは第1話に2回と第9話に1回登場する。劇場版でも小峰コールはどこかに入っていてほしい。小峰コールが起こった際の升野さんの合いの手が好きだ。第1話ではマキちゃんの小峰コール1回目の際「そうね、そうね、これはそうね」と合いの手を入れている。続く2回目の小峰コールのときは「そうね」と合いの手。第9話の小峰summerを喜ぶ小峰コールの際も「そりゃそうだ」と合いの手を入れている。合いの手升野さんのアドリブも楽しみ。

 

予想その6:変な略語・造語が登場する。

 ドラマ中でも変な略語・造語が数々登場する。先の「コミネの日」や「小峰Summer」もこれにあたる。ほかにも、副支店長はどんな話題をしていても結局副支店長の愚痴に行き着くことから「羽田」と呼ばれており、柏原さんは英会話を習っており、仕事中オケーイという言葉を連呼することから世界の柏原、略してセカカシ、つづまって「セカシ」と呼ばれている。他にもノー残業デーを指す言葉として「ノーザン」という言葉が使われているなど、独自のコミュニティでの共通言語が数多く存在している。今回もそういう略語や造語を紹介してほしい。

 

予想その7:セカシの英語力の現状についての言及がある

 セカシこと柏原さんについての愚痴で次のようなものがある。第3話、ラグタイムでの女性行員5人の会話より、セカシがオリンピックに合わせて英語を仕上げてきているんじゃないか疑惑が浮上する。オリンピックを間近に控えたタイミングを狙って脚本にその答え合わせになるようなセリフがあるのではないかと想像する。たとえば、どこかのシーンでセカシのオケーイがまだ使われて、それをきっかけに女子更衣室もしくはTokyo Rice Wineでセカシの愚痴になり、英語上達してない、オリンピックに合わせるんじゃなかったのかよ、というような愚痴がこぼれるんじゃないかと想像する。

 

予想その8:しつこいくらいの長回しのアドリブシーンがある

 第4話、食堂でトイレットペーパーをみんなどのくらい取り替えているかを公表するシーンがある。あのシーンで酒木さんは11回替えていると告白する。あのシーンはアドリブなんじゃないかと思う。小峰様よりも多い数でと指示はあるかもしれないが、具体的な回数はその場で、というような指示。そう思うほど、升野さんとマキちゃん、小峰様の笑顔に思わず漏れた感じが滲む。

 同様のことが他のエピソードでもある。第7話、かおりんが牛乳の咀嚼回数を話すシーンがある。4回は噛むと話したときの升野さん、酒木さん、サエちゃんの吹き出し方が第4話のそれとかなり近い。ここもなんかの回数を言うことだけは決まっていて、現場で実際の数字を言うような演出になっているのではないかと想像する。

 ほかにも、第7話、終業後にハンバーグに手招きする小峰様とダイエットのため遠慮する升野さんの間で煩悶する升野さんを楽しむマキちゃんの様子も途中からアドリブで長回しで撮っているっぽい。このシーンはこのドラマの中でも特にしつこい、しつこくて大好き。

 

予想その9:パラレルワールド的展開がある

 これまでドラマで扱った話をほぼ同じ軸で進めながら、既存の登場人物の行動や、新しい登場人物の行動によって、一種のパラレルワールド的な構造が出来上がり、中後半から物語が少しずつ変わりその後のオチもちょっと変える、みたいな展開があったらどきどきしそう。ただ、こないだ霜降り明星粗品さんが特番でやっていた内容と被る。日常を描く作品としてはやや攻めすぎ?むしろドラマ版こそ大枠で見たらパラレルワールドみたいなもの。

 

予想その10:ラストシーンはカラオケからの就寝

 映画のラストシーンもしくはエンドロールには、ドラマ版では時空の歪みが発生してしまい実現できなかったカラオケにみんなで行くシーンで終わってほしいと想像する。もしくはカラオケから帰ってきてダイエット中だったのにフードメニューのポテトを食べ過ぎたことを寝床で後悔するシーンで終わったりしてほしい。ドラマ版第1話、マキちゃんとサエちゃんと升野さんがTokyo Rice Wineで話していた温泉旅行も見てみたいけど、それは劇場版な感じが出てしまう。自宅で就寝終わりが一番しっくりくる。

 

 劇場版公開に向けて日々さまざまなことを想像している。そこにはなんの意味もない。でもそれが楽しい。

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