【雑記】松山に行ったことなど

 職場の飲み会の幹事役を今年は任されてしまった。お店選びも難しいし、そもそも職場の飲み会にあまり気が乗らないのに、幹事となれば否が応でも毎回出席しないといけないのかと気落ちする。しかし先々にあることに対して後ろ向きになりすぎるのも悔しい。そこで、先々のことを少しでも明るく考えられるよう、飲み会の翌日にかねてから行ってみたかった伊丹十三記念館に行く予定を立てることにした。とりあえず6/1(土)に朝からレンタカーを予約し、その日中に帰ってくるざっくりとした目標を立てた。

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 行きの道で物心ついてから初めて瀬戸大橋を渡った。ひょっとすると家族旅行で通ったことがあるかもしれないが、記憶にはない。私は姉である長女と11こ年の離れた4人姉弟の末っ子で、私が生まれ姉たちがある程度大きくなってからというもの、両親の家族旅行熱はおそらく下火だったと思われる。写真アルバムを見返しても、家族との旅行写真より小学校単位や集落単位での旅行写真が並んでいる。旅行に行かない代わりに土日は友人とゲーム機やコントローラー、お菓子を持ち寄って遊んだり、庭で父のゴルフ道具を勝手に使って庭に穴を掘り即席ゴルフをしたり、風の強い庭でバドミントンをして一方が追い風が〜向かい風が〜と不平不満をこぼし、雰囲気が悪くなるといった遊びに興じていた。友達と遊ばないときは、午前中に新婚さんいらっしゃい!やいいとも増刊号、昼にアッコにおまかせ!、なんでも鑑定団、のど自慢、その後山陰地方ではネットしていないテレ朝テレ東系列番組の再放送、ミュージックステーションの再放送、そして夕方のアニメを観るといったテレビを観ることで娯楽を享受し、休日をやり過ごすような幼少期を過ごしていた。

 話が逸れてしまったが、そういうわけで鮮明な体験として初めての瀬戸大橋で、そこから望む景色は壮観だった。

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 イラストが上手に描ければいいのだけど、こんな有様で、こんな感じだった。左右に見える手前の山々が藍色だとすれば奥の山々は薄い青色で、さらにその上の空は白くてその色味にうっとりした。くっきりしているようでぼんやりともしているような色彩に心地よさを感じた。2時間半の運転で松山の伊丹十三記念館に到着した。

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 展示室は大きな一室が途中暖簾で仕切られた常設展示展と企画展示展とで構成されている。シンプルな構成でさらっと回るにもじっくり鑑賞するにもちょうどいいな〜と感じた。常設展では十三の名にちなんで13のテーマで伊丹十三の興味関心を持ったものや業績が紹介されていた。世代としては伊丹十三が活躍していた少し後に生まれたため、CMや映画予告は初めて目にした。西友のCMと一六タルトのCMはしばらくずっと観ていたいほどだった。

 企画展では、伊丹十三が自身の作品や考えを様々なメディア媒体を用いて発信してきた様子が紹介されていた。中でも伊丹十三が1979年ごろ「二十一世紀への手紙」というヤクルトの企画で息子へ宛てた手紙が印象に残った。

 (中略)世の中の人間は現にそうして生きているし、始末の悪いことに、その中のどれが最も人間らしい生き方であるかを決める生物学的な根拠は全くありはしない。あらゆる価値は虚無の上にさしかけられた幻の梯子に過ぎず、どの梯子を攀じ登ろうとも、それが幻であることに変わるはあるまい。お前は、この、おそろしく相対的な認識から出発して、自分の梯子を探さねばならぬだろう。私としてはお前に残してやれる言葉とてないが、強いていうなら、他人は自分ではない。あるいは、他人は自分の道具ではない、ということだろうか。同時にまた、この世においては、他人を発見することが自分を発見することであり、逆に、自分に出会わぬ者は決して他人にも出会わぬということをお前に告げておこう。では、行っておいで。お前の梯子の下が虚無であることを忘れぬように。

  企画展示室を抜けると、中庭とそれを囲う回廊が設けられており、その脇にはカフェひまわりが併設されていた。せっかくなのでカフェに立ち寄ることに。

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 カフェひまわりでは、館内で販売しているお菓子の一三饅頭と梅昆布茶をいただいた。甘いのとしょっぱいので最高とEnjoy Music Clubは歌っているが、まさにそれを言いたくなった。カフェひまわりでは他にも、コーヒーやジュース、記念館に見立てたチョコケーキやチーズケーキも300円くらいで販売していてどれも美味しそうだった。

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 ガラスに施されたたんぽぽ模様にも細やかな気配りが感じられて、ああ、いいところに来たな〜、昨日の飲み会は下手な進行だったかもしれないけど頑張ってよかったな〜としみじみ感じた。

 

 記念館を後にして道後温泉へ向かった。駐車場から温泉へ向かう途中にあった道後公園で催事をしていたよう。ちょうど前を通った時にステージでリコーダーアンサンブルの方たちがテレサ・サンの時の流れに身をまかせを演奏されていたので聴き入ってしまった。あまりちゃんと聴いたことがなかったけど、歌詞を調べて依存するにしても依存先をもっと分散しないといけないよな〜と先日読んだ荻上チキさんの『みらいめがね』の教訓を反芻した。

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 道後温泉は特に賑わっていた観光スポットだったため、趣をあまり感じる余裕もないまま、回ってしまった。

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 温泉を出た時に、旅行客の方が観光案内の方に「この鳥は毎日磨いてらっしゃるの?」「いえ、毎日は磨いておりません」「ああそう、あまりにも綺麗だったものだからてっきり磨いていらっしゃるかと思いました」「それはそれはありがとうございます」とお上品なお話をされていた。

 うどん屋さんは前に松山出身・在住の和田ラヂヲ先生が『和田ラヂヲの聴くラヂヲ』の中で話していたと記憶している「アサヒ」か「ことり」に行きたいと思っていたけど、どちらも営業終了していた。残念だなと思いながら、でも何も収穫なしで帰るのももったいないなという気持ちもあって、商店街の中のミニシアターシネマルネティックへ足を運んだ。ちょうど『ある少年の告白』や『バイス』などを上映していた。来週からは『ゴッズ・オウン・カントリー』を上映するよう。シネマート心斎橋で3月に一度観たが、何かの機会にまた観たい。来た道を戻りコインパーキングへ。向かう途中にあったタピオカ屋さんにファイティンのTシャツを来た女の子がぞろぞろと並んでいて、部活の帰りかな、遠征とかかなとか勝手に想像してきゅんとした。仲良い人とタピオカ屋さん、楽しいだろうな。ちなみに私の家の近所にも今度タピオカ屋さんができるらしい。今日走る帰り道に工事中の建物のビニール掛けの看板からうっすら見えた。どうでもいい話。

 帰りの運転中、車内で欲張って取ったセブンの干し梅を口に運ぶ直前に落としてしまいその後身体の周辺を確認するも見つからない。返すまでになんとしても見つけ出したいと気持ちもあるがこれは見つかりそうにない。車を返却後、清掃担当の方がさらに乾燥した干し梅を見つけて渋い表情されるところまで想像して、申し訳ない気持ちになった。レンタカー店最寄りのガソリンスタンドで給油をしてあとは車を返すのみ。返車後に車内で聴いていた『オードリーのオールナイトニッポン』を続けて聴けるようにカバンからAirPodsをTシャツの胸ポケットにスタンバイさせておこうとしたら、胸ポケットに柔らかな感触がした。落とした干し梅だった。よかった〜とほっとした後、美味しく食べた。

 道中は音楽を聴いたりラジオを聴いたりした。ラジオ番組はradikoのタイムフリーで、PUNPEEさんの『SOFA KING FRIDAY』、高橋源一郎さん『すっぴん!』内9時台コーナー「源ちゃんの現代国語」(今回は鹿子裕文さんの『へろへろ』を紹介されていた)、麒麟川島明さん『すっぴん!』内9時台コーナー「日本一早い!大喜利コーナー」、能町みね子さん『すっぴん!』内11時台コーナー「スポーツのミカタ」(大相撲夏場所総括)、和田ラヂヲさん『和田ラヂヲの、聴くラヂヲ2』、『オードリーのオールナイトニッポン』などを聴いた。どれも毎週聴いているが、松山に向かう道中で聴く和田ラヂヲ先生の番組は最高だった。

 

 6/2、朝歯磨きをしたときにフロスの糸が上の歯の間でちぎれてしまった。前々から歯間にフロスが通りにくい場所があってそこは歯の間がギザギザしているため、どうしても通りが悪いと歯科医の方から言われていた。もしも抜け出せなくなってしまった時は片手を離しもう片方でツーッとフロスを引き抜くようにしたらよいと歯科医の方からアドバイスもいただいていた。アドバイス通り引き抜こうとしたら詰まった部分は残ったまま。

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 ピンセットでなんとか取ろうとしたり、ピンポイント用歯ブラシでこそげ出そうとしたり、ガムを噛んでみたりするもうまくいかず。再来週定期検診で歯医者に行くがそれまでに取っておきたい。フロスがつまりっぱなしのところを歯科医の方に見られたらと思うと申し訳ない気持ちでたまらない。私の中でフロスは先日の干し梅と同じような位置付けになった。

 午後から外出し、セブンで昨日撮った写真を現像し、郵便局で実家に写真と昨日買った一三饅頭を祖母宛てに手紙をつけて郵送した。帰省まで日持ちがしないお土産を買ってしまったときにこんなことをしている。明日祖母から電話があるといいな。