【雑記】父の作ったおでん

 内定式を終え、実家へ帰省した。帰省した当日は母の誕生日だった。父はこのような母へ日頃の感謝を伝えるのに適した日になると晩御飯を作る。この日の晩御飯の主たるおかずはおでんだった。てっきり練り物の詰め合わせを放り込んだものだと思っていたら、大根やちくわ、こんにゃく、厚揚げ、牛すじ、昆布、たこまで入った豪勢なものだった。お玉で鍋底をつつく私の顔はひどくゆるんでいたと思う。

 

 今回帰省して一番驚いたことは、父が禁煙したことである。「決意するかどうかの問題で、やめようと思えばいつでもやめれる」という言葉を父から、そして母の伝え聞きで、何度聞いたことだろうか。そんな父が急にタバコを吸わなくなった。タバコを吸っていたちょっと前までは夜間に咳がとまらず、母がいたく心配していたので、父の健康面と母の不安が取り除かれたことの両面で嬉しかった。そのニュースにあまりにも驚いたので、10時のニュース番組を見ながら父と二人で内定式の話をはじめ雑談をした。父によると、禁煙自体は簡単らしいのだが、続けて飲まねばならない薬がなかなか手強いとのことだった。年始にまた帰省するので、禁煙の経過報告をまた二人きりのときに聞いてみようと思う。働き始めたら、両親と旅行に行くのが小さな目標なので二人ともにはできるかぎり元気でいてほしい。

 

 一見意味のないように思えることや、無駄に思えることが大好きだ。物事の脇道や、中心になっているテーマの隙間にあるもの、こぼれ落ちてしまうにどうしても目がいってしまう。私のこのような性格は日頃の話ぶりにも現れるようで、後日会った際に、結局何を話したかあまり覚えていないと言われることが多い。とりとめのない会話を頻繁にするあまり、話題の輪郭がおぼろげになってしまう。思えば、そういうものに意識的に触れるようになってから久しい。多分、変わらず続く日常こそが最大のドラマだと私は信じているのだと思う。

 これに関連して、今年はどんなものに触れたか考えてみた。最近読んだ高野文子さんの『るきさん』、藤岡拓太郎さんの『夏がとまらない』、魚喃キリコさんの『南瓜とマヨネーズ』、ヒューマントラストシネマ有楽町とシネマ・クレール丸の内で観たジム・ジャームッシュ監督最新作の『パターソン』、あぁ早くスピンオフやってくれないかなと思っている4月〜9月まで放送された朝の連続テレビ小説ひよっこ』、試験勉強の合間に繰り返し観ては癒されたバカリズムさんが原作・脚本・主演を務めた『架空OL日記』こういう系統を今は意識して探しているが、初めてこのような自分の気持ちが落ちつくものに触れたのは『高校球児ザワさん』かもしれないな、と大学からの帰り道原付に乗りながら考えていた。

 

 『ちょっとザワつくイメージ調査もしかしてズレてる?』のスチャダラパーBoseさんとファンタジスタさくらださんとゲバたんの3人が暮らす様子を見た。BoseさんはSNSを積極的に更新しているので弁当の中身やゲバたんの様子を見ることはあったが、ファンタジスタさくらださんの目線で見る家族の様子はとても素敵だった。大学の友達でも、彼氏彼女がいて、私が関わるのはその一方だとしても性の雰囲気を漂せている人って少なからずいる。あぁ、この人家帰ったら彼氏とすごい仲良さそうだなという人。スチャダラパーBoseさんとファンタジスタさくらださんもそういうイメージだ。二人の特集の最後に、Boseさんが話していた言葉にぐっときたのでメモしておく。

 ウチは多分一般の人からズレてると思うけどそこん中でこう、みんな3人ともまあある種似ているわけだし、なんか自分たちお互い守りながら、そういう救いがなかったら家庭を持つ意味もあんまないんじゃないか。なんかこう本当の最後の小さいルールっていうか。

 私も家族とか親しい人に求めるのは安らぎであって、一緒に高め合うとかそういうのは別の関係でいいなと思う。もちろんおもしろかったことは共有したい。腹が立ったときや落ち込んだときに言葉にできたり、言葉にしたくないときにはなんとなく一緒にいれるのがいいなと思う。

 

 先週放送された『深夜の音楽食堂』の冒頭メールコーナーで松重豊さんがリスナーからの松重さん夫婦は喧嘩はあるか、あるならどのようにして夫婦仲を元に戻しているのかという質問についてかわいらしい回答をされていたのでこちらもメモしておく。

 まあ、夫婦喧嘩っていうのはねぇ、まあ、本当にあの一緒に暮らしていると、まあ、些細なことでぶつかりあったりすることはま、本当に日常ね、茶飯事なんですけどもねぇ、うちの場合は、まあ、あのほんとに、あのけんかしてたってちょっとこいつとはしばらく口きくのもやだなって思ってるんですね。でもその口きくのもやだなって思っていることに、えぇ忘れる瞬間が、もう、すぐ来るんですね。

 つい普通に話してしまって、向こうもね、なんかつい忘れててそのままのノリで話してしまって、まあ、結局なんだったんだっていう、その、あの、なかなかね、あの、黙ってるっていうことに対してのストレスを感じるんでしょうね。 えぇ、それでついもうけんかしていることを忘れて話しかけちゃうんでね。まあ、それですぐ元に戻って、別に、仲直りしたっていう感覚というないままに戻っちゃうみたいなんですけどね。

 キミコさんも確信犯的にでもいいのでもうケンカしてあのー、ぷいってしててもね。ああ、この取り組みすごいよっていうなんか相撲の話題でもなんでもいいですからね。まあ、そういうことで夫婦仲を戻せばいいんじゃないかと思いますけども、えぇ、こんなんでどうですかね?

 

 あぁ、また更新に間があいてしまった。観たもの、聴いたものを定期的に書き残す習慣をつけたい。